報道によれば、東日本大震災発災、そして東京電力福島第一原子力発電所(通称「F1」)事故勃発から3月11日に10年を迎える直前の3月10日、東京電力は、柏崎刈羽原発(新潟県)で社員が他人のIDカードを使って不正に中央制御室に入った問題の再発防止策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出。社員に対する「警備員の忖度(そんたく)」などがあり、「厳格な警備業務を行い難い風土」が一因になったと分析。対応策として、警備業務に関する管理職を新たに配置するなどの体制強化を掲げたという……

 北海道から東日本の東北北部太平洋側に延びる日本海溝・千島海溝沿いで起こる海溝型地震について、国は昨年(2020年)4月、過去最大級の地震が発生した場合の最大津波高の推計結果を公表した。千島海溝と日本海溝で、それぞれマグニチュード(M)9.3、M9.1の過去最大級の地震を想定……

 低頻度巨大災害は、私たちの大きな関心事である。100年、1000年、あるいは1万年の時間スパンで起こる地球規模の天変地異だ。それは例えば火山の破局噴火(例えばイエローストーンの破局噴火)であり、マグニチュード(M)9レベルの巨大地震・津波(例えば南海トラフ巨大地震)であり、時には大都市直下で起こる活断層地震(例えば首都直下地震)などである。そして気候変動で想定される大都市湾岸ゼロメートル地帯を襲うスーパー台風や高潮、大雨による河川の大氾濫などは、眼前の私たちの防災対応課題である……

 防災減災や災害復興に関わる58学会のネットワークである防災学術連携体の幹事会が去る5月1日、新型コロナウイルス感染症と自然災害の複合災害に対する警戒を呼びかける「市民への緊急メッセージ ~感染症と自然災害の複合災害に備えて下さい~」を公表した。
 メッセージは、感染リスクを考慮した避難が必要、地震・火山災害との複合災害への備え、気象災害との複合災害への備え……

 4月21日、千島海溝・日本海溝沿いでマグニチュード9クラスの地震が起きた場合、本県沿岸 北部には東日本大震災の場合よりも大きな津波が襲来するとの内閣府有識者会議の検討結果 が公表された。これに対して、岩手県沿岸3市長が浸水域想定の非公表を求めたことに批判的な 報道がなされている。
 いうまでもなく、最大の想定は、その対策、避難や町づくりの基礎となるもので、意義は大きく 公開すべきであることは言を待たない……

 環境保全と防災について調査・研究・普及啓発を行うCeMI防災・環境研究所(以下「CeMI」: Crisis & Environment Management Policy Institute/NPO法人 環境防災総合政策研究機構)が先ごろ、「災害時の避難における新型コロナ感染症対策等に関する国民の意識や行動調査」の集計結果(速報)を公開して注目されている。CeMIは「タイムライン(防災行動計画)」の策定支援でも知られ、「台風に備えた家族と私のタイムライン」やわが国初の「高潮タイムライン」策定支援などのユニークなバーション展開が話題だ。
 今回の「避難意識・行動調査」も、調査対象は「過去の災害時に避難経験がある人」という独自の視点で行われた……

 『COVID-19』(新型コロナ感染症)はパンデミック(世界的流行)となり、日本の社会・経済にも多大な影響を及ぼしている。その感染状況、社会・政治の対応は日々更新を続けており、わが国の 「緊急事態宣言」の期間も延長される見通しだ(4月30日現在)。
 感染症はいわゆる自然災害とは異なるとして、防災分野に関わるメディアや機関・団体でも主 要テーマとして追わないところもある。そんななか、国(内閣府防災担当・避難生活担当参事官) は去る4月1日と7日、「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応」について通知を発 出し、出水期の災害への備えとして災害避難所と感染症を“ヒモ付け”した……

 内閣府の「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」((以下「モデル検討会」。座長: 佐竹健治・東京大学地震研究所教授)は去る4月21日、北海道から東日本の東北北部太平洋側 に延びる日本海溝・千島海溝沿いで起こる海溝型地震について、過去最大級の地震が発生した 場合の最大津波高の推計結果を公表した……

 日常性に潜む災害リスクが突然、露出した。2020年2月5日午前7時58分、神奈川県逗子市池子2丁目に建つマンション「ライオンズグローベル逗子の丘」の東側斜面が崩壊、側面の市道を通学のために歩いていた18歳の女子高校生が土砂に巻き込まれて死亡した。崩落した土砂量は約68t。この斜面は逗子市が、土砂災害警戒区域に指定していた……

 政府の地震調査研究推進本部(以下、「地震本部」)は去る1月24日、南海トラフ地震によって引き起こされる津波が今後30年以内に沿岸を襲う確率となる「確率論的津波評価」(以下、「津波評価」)を初めて公表した。「津波評価」では、影響を受ける352市区町村ごとに、津波の高さを――①3m以上、②5m以上、③10m以上の3段階で算出……

 近年、”持続可能(な)、持続可能性”(英語では sustainable / sustainability)という用語をよく聞く。翻訳調の言い回しで、事実、わが国にはなかった用語・概念だが、いまでは社会的な課題提起から企業戦略まで、”持続可能(な)、持続可能性”は、現代から近未来の世界を理解するためのキーワードとして欠かせないものとなりつつある。
 用語例として”持続可能な社会”を取り上げてみよう。それはどういう社会か――一般的には、「地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代の要求を満たすような開発が行われる社会」と定義される……