本年(2022)1月15日午後1時ごろに発生した、海底火山フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山噴火による潮位変化について、気象庁は同日午後7時ごろの発表で、若干の海面変動が予想されるとしつつ、「被害の心配はない」としたが、その後、潮位上昇が観測され、午後11時55分には鹿児島県奄美市で1.2mの最大波を観測、16日午前0時15分には、奄美群島・トカラ列島に津波警報を出すに至った……
地震、津波
NHKテレビは本年1月14日、阪神・淡路大震災から27年を期して「“見過ごされた”耐震化」と題する特番を放映した。その数日後、福和伸夫・名古屋大学減災連携研究センター教授が「盲点は繁華街のビルの耐震化 3大都市の現状を見る」と題した小論を「Yahoo! ニュース」に投稿した。その内容は推して知るべし――防災関係者を改めて震撼させるものだった……
「Ring of Fire(炎の輪)――南太平洋トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ海底火山噴火を報じる海外メディアを見て、日本を含む環太平洋火山帯がこう呼ばれていることを知った」という記事があった。“炎の輪”は下図版にあるように、まさに地球を抱くように広がる。防災白書はその冒頭で「わが国は、その位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土」で、世界全体に占める日本の災害発生割合は……
中央防災会議防災対策実行会議のもとに設置された「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ(WG)」は、 防災対応に資する情報発信の必要性等を検討するため、南海トラフと同様の仕組み(南海トラフでは「臨時情報」の名称)を検討する「日本海溝・千島海溝沿いにおける異常な現象の評価基準検討委員会」(以下、「異常現象評価検討委」)をWGのもとに設置した……
中央防災会議は「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」を2015年2月に設置、最大クラスの震度分布・津波高等の推計結果を2020年4月に公表した(岩手県の浸水想定については同年9月11日に公表)。この震度分布・津波高などに基づき被害想定と防災対策を検討するために、2020年4月に「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」が設置され、同ワーキンググループは昨年(2021年)末の12月21日、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定を公表した……
内閣府の「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」は2020年4月、北海道から東日本の東北北部太平洋側に延びる日本海溝・千島海溝沿いで起こる海溝型地震について、最大津波高の推計結果を公表。千島、日本海溝で、それぞれマグニチュード(M)9.3、M9.1の過去最大級の地震を想定した場合、津波高は岩手県宮古市で29.7m、北海道えりも町で27.9mなど、一部で東日本大震災を超す結果となった……
国土交通省は去る11月24日、「2021年 濱口梧陵国際賞(国土交通大臣賞)」受賞者を決定し、発表した。受賞者は国外から1名・1団体、国内から1名が受賞した。
濱口梧陵国際賞は、わが国の「津波防災の日」となった11月5日が、2015年の国連総会において「世界津波の日」として制定されたことを受け、津波・高潮などに対する防災・減災に関して顕著な功績をあげた国内外の個人または団体を表彰する趣旨で2016年に創設されている……
10月7日22時41分、千葉県北西部・深さ75kmを震源とするマグニチュード(M)5.9(暫定値)の地震が発生した。気象庁によると、最大震度5強を埼玉県川口市・宮代町、東京都足立区の3つの市区町村で観測したほか、東北地方から近畿地方にかけて震度5弱~1を観測した。津波はなし。
長周期地震動については、千葉県北西部、東京都23区で長周期地震動階級2を観測。これらの地域の高層ビル高層階等では、物につかまらないと歩くことがむずかしい、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあるなどの大きな揺れになった可能性がある。また、緊急地震速報(警報)が、この地震の地震波検知から3.7秒後の22時41分38.5秒に発表されている……
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」)の研究者グループが、千葉県九十九里浜沿岸で、歴史上知られていない津波の痕跡を発見、それが約1000年前に、房総半島沖で発生したマグニチュード(M)8級の巨大地震によるものとの結論を得たと発表した。同論文は科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された……
元NHK解説委員で中央防災会議専門調査会座長・委員などを歴任、市民の防災啓発や防災士育成・指導で知られる伊藤和明氏による最新書下ろし『平成の地震・火山災害』(近代消防新書、定価・税共990円)がこのほど刊行された。
同書冒頭「はじめに」で「元号が『平成』に変わったのは、1989年の1月、それから約30年続いてきた平成の時代も、さまざまな自然災害が日本列島を席巻……
京都大学防災研究所・西村卓也准教授(測地学・地殻変動論)がこのほど、GPS(GNSS *後述)の観測データから、内陸地震を引き起こす「ひずみ」がどの程度蓄積しているのか分析、西日本での大地震の発生確率を算出し、NHKニュース(文末にリンク)と9月12日放送のNHKスペシャル「MEGAQUAKE 巨大地震 2021」がその詳細を伝えた。
西村准教授の分析結果によると、活断層の分布調査に基づいて同じ地域区分で算出した政府の地震調査委員会の発生確率と比べてGPS推定では、発生確率が2倍以上高くなる……
北海道が「北海道太平洋沿岸の津波浸水想定」を去る7月19日公表した。
本紙は直近の8月1日付けで「アラスカ半島でM8.2の地震 “ビッグ・リマインダー!”…(チリ地震津波、元禄津波の想起)」と題して「遠地津波」(チリ地震津波、元禄津波)への警告を発した。また本紙、2018年1月8日付けでは「雪氷津波 千島海溝“超巨大地震 切迫”――厳冬期の津波が現実的課題に」を取り上げたように――北海道太平洋沿岸の津波想定を(警告の)”リマインダー”としたいからだ。
本紙は「事前防災」を掲げ、防災の”想定外をつぶす”ことを第一義としている。防災メディアとして直近の気象災害の激甚化や、切迫感が高まる南海トラフ巨大地震、首都直下地震の優先度も高いが、いつ起こっても不思議はない北海道太平洋沿岸を襲うことが想定される巨大地震津波を、道の津波浸水想定の公表を機に、改めて取り上げる……