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LINE、台風19号の被害状況調査を
LINEリサーチで実施

「困っている状況」「ほしい情報」など
多数の被災者の生の声を即座に一挙に得られる

 LINE株式会社(東京都新宿区)は、同社が参画するAI防災協議会と共同で、台風19号の被害状況に関する調査をスマートフォン専用のリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」で実施、その結果をまとめ先ごろ公表した。
 AI防災協議会は本年6月18日に設立され、政府が情報提供するなど、産・官・学連携の組織。内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で研究開発されている「人工知能(AI)技術やSNS等を活用した災害時情報収集」のしくみ構築の一環となる。
 協議会の主なメンバーは18自治体(設立時点)のほか、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)などの研究機関、民間からは、株式会社ウェザーニューズ(WNI)、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、SOMPOリスクマネジメント株式会社、東京海上ホールディングス株式会社、ヤフー株式会社、LINE株式会社、ワークスモバイルジャパン株式会社の6社となっている。

>>AI防災協議会

 「LINEリサーチ」調査では、2019年10月15日から16日にかけて、災害救助法の対象自治体が含まれている県のうち、東京都と神奈川県を除く12県(岩手県・宮城県・福島県・茨城県・栃木 県・群馬県・埼玉県・千葉県・新潟県・山梨県・長野県・静岡県)を調査対象地域とし、それらの県に在住登録しているLINEリサーチの調査モニターにアンケートを配信、約7万5000名から回答を得た。
 そのうちなんらかの被害を受けた約1万2000名から、「困っている状況」「ほしい情報」「自治体に求める支援」「避難するきっかけ」などに関する被災者の多数の生の声を即座に一挙に得て、これをまとめたものだ。

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P5 1b 避難するきっかけ 1024x319 - ”調査のインフラ” 「LINEリサーチ」 ICTを防災に活かせ
台風19号に関するLINEリサーチ調査結果より、上は「いまほしい情報」、下:「避難するきっかけ」

■被災者が困っている状況
 被災者が困っている状況として多く回答があったのは、「食料・水の不足」「公共交通機関が動いていない」「お風呂に入れない」の3点。
■被災者がほしい情報
 被災者がほしい情報としては、被災した家や車の応急処置の方法や、損害保険に関すること、食料・水・電源・車などライフラインに関すること、自治体等への手続きに関することなどが多くあげられた。
■被災者が自治体に求める支援
 被災者が自治体に求める支援は、「道路・公共交通機関の復旧」が最も多く、次に「生活再建費用の支援」だった。ほかには「物資の支援」「お風呂等の生活支援」が高い地域もあった。
■被災者が避難するきっかけになったもの
 被災者のうち避難所等へ避難した人について、避難するきっかけになったものは、「スマートフォンの緊急速報通知・緊急速報メールを見て」という回答が最も多く、次に多かったのは「テレビ・ラジオを見て/聞いて」「防災無線を聞いて」だった。

 LINEリサーチの特長はまさに、災害時に即座に大勢の人びとの現状を把握できるというICTの利点を活かせるところにある。LINEとAI防災協議会は今後も、ICT、AIの防災・減災に関する活用や調査・研究を行っていくとしている。
 同時に、同調査から得られた結果を、AI防災協議会を通して国や自治体とも共有することで、産官学で一丸となって取り組む方針だ。”調査のインフラ”として、今後の活用に期待が寄せられている。

 いっぽう、LINEリサーチは、同社が保有する482万人という国内最大級のアクティブな調査パネルを基盤としたスマートフォン専用のリサーチプラットフォームであり、その「行動ログ調査」は、多くの生活者の行動や感情の把握を可能にするが、今後の課題としては、”調査のインフラ”を任じるならば、スマートフォンを持たない高齢者や”情報弱者”の声をどのようにしてすくい上げられるかということになる。
 さらに将来的には、”調査のインフラ”たるべく、ICTが災害・防災(避難情報から、人命救出、災害関連死、復旧・復興など、被災者の血肉・汗というアナログ)という“リアリティ”に、どこまでその技術を駆使して肉薄できるか、注目したい。

>>LINE株式会社:LINEリサーチで台風19号の被害状況に関する調査

〈2019. 11. 09. by Bosai Plus

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