「半島防災」―半島地域の防災対策を強化する改正法成立

能登半島地震を受け「半島防災」を初めて明記
 地方創生を盛り込み、期限を10年延長

 「半島防災」と通称される半島地域での防災対策を強化する改正半島振興法が先ごろ(3月26日)、参院本会議で与野党の賛成多数により可決、成立した。能登半島地震を教訓に、三方を海に囲まれる地理的特性を踏まえた「半島防災」を進めるのが柱で、今月末までだった法律の期限を10年間延長する。

P4 1 半島地域の地図より「凡例」(国土交通省資料より) - 「半島防災」対策強化
半島地域「凡例」(国土交通省資料より)

 現行法では、全国23地域(22道府県)の194市町村を「対策実施地域」に指定、税制優遇による産業振興策を講じてきた。しかし、能登半島地震で被災地支援への進入路が限られ、孤立しやすいという半島地域の課題が改めて明らかになった。また、南海トラフ巨大地震などの大規模災害想定を踏まえて、改正法には、すべての半島地域で防災強化と地方創生を進めることを明記。また、対策実施地域に配慮すべき事項を大幅に拡充させ、災害時の情報収集に向けたデジタル技術活用なども後押しするとしている。

P4 2 半島振興法が定める対象地域(国土交通省資料より) - 「半島防災」対策強化
半島振興法が定める対象地域(国土交通省資料より)

 半島地域は、国土保全、多様な文化の継承、自然との触れ合いの場と機会の提供、食料の安定的な供給など、重要な役割を担う。また、海・山・里の多様な資源に恵まれ、海を通じた独自の歴史・文化を持ち、優れた自然景観などの観光資源に恵まれている。

 いっぽうで、三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、幹線交通体系から離れているなどの制約下にあり、産業基盤や生活環境の整備等も他地域と比較して遅れ、また人口減少、高齢化が進行するなど厳しい状況にある。このような半島地域の振興を図るため、1985年に10年の時限立法として「半島振興法」が制定され、国、地方自治体等による各種支援措置、施策等が講じられてきたが、依然として半島地域は厳しい状況にあることから、2015年3月に、3度目の法期限延長(期限:2025年3月31日)がなされている。

 4度目の法期限延長となった背景には、同法がこれまでは税制上の優遇措置による産業振興に重きを置いていたが、「防災強化あっての産業振興」という発想の転換がある。
 そこで、改正半島振興法では、「半島防災」の言葉を初めて明記、「半島地域のすべての道路は防災に資する」との考えに基づくインフラ整備や、地域に分散した小規模な発電設備、給水システムの導入などを後押しするなど、ハード・ソフト両面の対策を強化。また、移住を促進し魅力ある観光地づくりをめざすこととしている。

国土交通省:半島振興対策の推進

〈2025. 04. 02. by Bosai Plus

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