教訓を「つなぎ、伝える」重要性を確認
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「阪神・淡路大震災30年特別番組制作プロジェクト報告会」(主催=甲南女子大学文学部日本語日本文化学科)が去る11月30日、甲南女子大学(兵庫県神戸市)で開催され、一般・学生などzoomも含めて当日は約70人が参加した。
同プロジェクトは2024年4月にスタート、甲南女子大学日本語日本文化学科の有志の9人の震災を知らない世代である学生たちが、芦屋市とともに約20名以上の震災経験者を取材。この取材から得た知見・教訓を踏まえて、当時の記憶や経験をどのように後世に『つなぎ、伝える』かをテーマに、芦屋市のYouTube番組制作に取り組むというもの。
■報告、つなぎ伝える意義、メッセージ
「第1部:芦屋市長とともに学生によるプロジェクトの成果についての報告」では、芦屋市のYouTube「あしやトライあんぐる」で放送した番組を視聴した。
取材チームは、「cure safety(キュア セーフティ)」、「baton+n future(バトン フューチャー)」、「GOOD GOODS」の各チームで、その取組みとして、能登半島地震の被災地・石川県珠洲市訪問、同募金活動についての報告も行われた。
「cure safety」は「災害と女性をテーマとして、日常的にジェンダー平等教育を考えるきっかけを作る必要がある」、「baton+n future」は「障がいのある人とのつながり・コミュニケーション・情報の伝え方について考えた」、「GOOD GOODS」は「災害に関する情報についてゲームを使ったプラン案を考えた」と報告した。
その後に高島崚輔・芦屋市長と、同プロジェクトに関わった学生たちが意見交換した。
「第2部:学生たちが震災をつなぎ伝える意義とはなにか?(大人の視点から)」では、高島・芦屋市長、高橋英徳氏(J:COM(株)「あしやトライあんぐる」制作担当)、信時哲郎氏(甲南女子大学文学部日本語日本文化学科教授)、進行役として津田なおみ氏(甲南女子大学 文学部日本語日本文化学科講師)が登壇して、大人の視点から「学生たちが震災をつなぎ伝える意義」について討論した。
「第3部:学生から未来へ向けてのメッセージ」では、同プロジェクトに関わった学生たちが「私たちがつなぎ、伝えたいこと」として「震災を知らない私たちが活動する意味、復興とは何か、何をつなぐ・伝えるのか」についてメッセージを発信した。
■「つなぎ、伝える」事の重要性
2025年1月17日は阪神・淡路大震災から30年。今後、震災を知らない世代は増えていくばかりだ。その教訓を「つなぎ、伝える」重要性は、ますます高まってくると感じさせられる報告会だった。
若い世代が震災をめぐる様々なテーマに取り組むことで、過去の災害から学び・考えて、今後の防災に生かされるのを期待したい。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・甲南女子大学
・YouTube「甲南女子大学×芦屋市 共同制作番組芦屋市阪神・淡路大震災30年事業 特別企画」
・YouTube「つなぐ、伝える② 甲南女子大学×芦屋市 共同制作番組芦屋市阪神・淡路大震災30年事業 特別企画」
〈2024. 12. 24.〉