「浸水が及ばない高さでのまちづくり」は可能か
「高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループ」がただいま、構想中!
2019年(令和元年)10月12日に日本に上陸した台風「令和元年東日本台風(令和元年台風第19号)」は、静岡県、関東、甲信、新潟県、東北地方などに記録的な大雨をもたらし、死者100人を超える甚大な被害となった。この台風で、東京東部地域のゼロメートル地帯等における水害リスク、また広域避難の様々な課題等が顕在化した。
そこで、国と東京都は連携して2000年12月に『災害に強い首都「東京」形成ビジョン』を公表、これを踏まえて、首都・東京の大規模洪水等による壊滅的な被害の発生を回避できるよう「高台まちづくり」の実践に向けた具体的な推進方策を検討する国、東京都、沿川区等の実務者による「高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループ」を設置した。同ワーキンググループでは、高台まちづくりのモデル地区等における取組み状況や、高台まちづくり整備の基本的な考え方等について検討を行っているところだ。
国土交通省:水害リスクを踏まえた高台まちづくりの推進方策を検討
「ビジョン」では、高台まちづくりの具体の整備手法として、次の3つが示されている。
① 建築物等(建物群)による高台まちづくり
② 高台公園を中心とした高台まちづくり
③ 高規格堤防の上面を活用した高台まちづくり
水害に強いまちづくりについて総合的な研究・技術提言を行う公益財団・リバーフロント研究所によれば、高台まちづくりでは、浸水時には緊急的な避難場所や救出等の活動拠点として機能することを想定しつつも、平常時には賑わいのある空間、公園、良好な都市空間・住環境を提供し、いざ災害という時には高台公園や高規格堤防の上面から道路や連続盛土等を通じて浸水区域外への移動が可能となる機能が求められる。
また、高台まちづくりの全国への展開に向けては、水害リスク軽減の観点からの高台まちづくりの優先的な整備地区を定めるとともに、事業実施体制面の強化、事業実施の根拠となる法令や通達などの制度面の強化と、それに付随した財政支援の強化、さらには地元合意形成に向けた普及啓発の強化など、取組むべき課題は多々ある、としている。
■ 参考まで―本紙が12年前に注目した清水建設の“抗・津波/洪水/浸水”構造体構想
旧聞に属するが、本紙は2012年11月に、清水建設が東日本大震災を受けて構想した津波被害軽減をめざす「グリーンマウンド」と呼ぶ円錐台形の構造体を構想、また、震度7級の大地震や波高20m級の大津波に耐え、最大で入居者と避難者の計2400人の人命を守る津波避難ビル「アーチ・シェルター」の設計手法を考案したことを伝えている。
ゼネコンによる「抗・津波/洪水/浸水」構造体構想、ガッテン!!( 下写真参照)
〈2024. 11. 25. by Bosai Plus〉