木造住宅の耐震化を促進し、
地震による被害を最小限に抑えるための方策…

 国土交通省が、居住者の命を守る観点から基本原則とする住宅の耐震化をさらに進めるための方策と、やむを得ず本格的な耐震改修等を行うことができない場合でも、地震からのリスクを低減することが考えられる方策を含めて普及することを目的として、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」をとりまとめ公表した。

 この背景として、令和6年能登半島地震で多くの家屋が倒壊して甚大な被害が発生したが、とくにその所有者の多くが高齢者世帯である地域では、住宅の耐震化率が相対的に低く、その要因として資力不足や動機不足等が考えられたことがある。こうした課題に対して、住宅の耐震化をより一層進めるための方策の検討とともに、本格的な耐震改修等を行えない場合でも、居住者の命を守る観点から地震へのリスクを低減するための暫定的・緊急的な方策等も含めてとりまとめたもの。マニュアルは次のような構成となっている。

1) 編 住宅の耐震化の促進
 ・耐震化の支援制度の概要
 ・耐震化のさらなる促進に向けた方策
2) 編 地震からリスクを低減するための方策
3) 編 日頃からの災害への備え

P5 1 「木造住宅の安全確保方策マニュアル【概要】」より - 国土交通省の<br>「木造住宅 安全確保方策」とは
「木造住宅の安全確保方策マニュアル」より

 マニュアルは、基本的な考え方として、「所有者の意識の向上」を図り、耐震診断で危険性の有無を確認、耐震性を確保することを原則。やむを得ない場合、居住者の命を守る観点からのリスク低減を図り、日頃から災害時への備えを行う、としている。
 耐震改修を促進するための各種「支援制度」の紹介、耐震化の重要性を広く周知するための普及啓発活動(戸別訪問や防災イベントの開催、SNS広告の活用など)は、いわばこれまでの常套手段の強化と言える。

 「地震からリスクを低減するための方策」として、「工事業者の育成」にも力を入れ、技術力向上のためのセミナーや研修会を定期的に開催し、最新の耐震技術や施工方法を学ぶ機会を提供。さらに、工事業者と住宅所有者をマッチングするイベントを開催し、信頼できる業者を紹介、安心して耐震改修を依頼できる環境を整えるとしている。

 「やむを得ない場合の暫定的・緊急的な対策」としては、①段階的な改修工事、②部分的な改修工事、③耐震ベッドや耐震テーブルなどの家具の導入、④2階建ての場合、建物倒壊でも命のリスクを低減するため2階を居室や寝室にするなど住まいの工夫。
 「日頃からの災害への備え」では、家具転倒防止、ガラス飛散防止、感震ブレーカーの設置、防災備蓄の確保、避難経路の確保、家具配置の工夫などをあげている。まさに防災士など、地域防災活動での啓発項目のより強化が課題とされている。

P5 2a 徳島県の「減災化対策支援事業」の例より - 国土交通省の<br>「木造住宅 安全確保方策」とは
P5 2b 徳島県の「減災化対策支援事業」の例より - 国土交通省の<br>「木造住宅 安全確保方策」とは
徳島県の「減災化対策支援事業」の例より
P5 3 静岡県の「命のパスポート」(一部) - 国土交通省の<br>「木造住宅 安全確保方策」とは
静岡県の「命のパスポート」より(一部)

国土交通省:「木造住宅の安全確保方策マニュアル」

〈2024. 11. 01. by Bosai Plus

コメントを残す