P1 都道府県別 水害被害額マップ 2013 2022 640x350 - 水災害の季節―リスクへの取組み

今年こそ水災害犠牲者ゼロを!
 リスクコミュニケーション推進

水災害リスクの減少・分散・回避に向けて、
国土交通省「水災害リスクコミュニケーション」推進

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●梅雨入りが遅れているが、今年もまた水災害の季節が…
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 今年の梅雨入りは全般的には遅れているようだ。6月14日頃までは梅雨前線は北上せず、本州付近は晴れて、厳しい暑さが続き、東北から九州にかけて広く真夏日(最高気温30℃以上)になりそうだという。猛暑日(最高気温35℃以上)が予想されている地域もあり、暑さに慣れていない時期だけに熱中症に警戒が必要だ。いっぽう、梅雨前線が停滞する沖縄は梅雨末期の大雨となっていて15日頃まで断続的に雨が降り、土砂災害や河川の増水、氾濫、低い土地の浸水に注意・警戒が必要とのこと。

気象庁:令和6(2024)年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)

 梅雨(つゆ、ばいう)は、北海道と小笠原諸島を除く日本、朝鮮半島南部、中国の南部から長江流域にかけての沿海部、および台湾など、東アジアの広範囲においてみられる特有の気象現象で、5月から7月にかけて来る曇りや雨の多い期間であり、雨季の一種であり、水災害が多発することから、防災関係者のみならず、市民の備えが重要になる。

 近年はとくに、大雨による被害が増加傾向にある。令和(2019年(令和元年)5月1日から)に入ってからの5年間だけをみても、2019年の東日本を中心に被害をもたらした台風19号や2020年7月の大雨、2022年の台風14号・15号など毎年のように大雨が発生している。昨年2023年は大雨による水害被害が多い1年で、梅雨時期の6月・7月のわずか2カ月間で人的被害93名、住家被害2万5262件という甚大な被害が発生した。

 地球温暖化の進行に伴って気象災害の激甚化が予想されており、大雨や短時間に降る強い雨の頻度はさらに増加する可能性が高く、台風や大雨による風水害・土砂災害発生リスクが高まることはほぼ確実だ。毎年、水災害が繰り返される背景には、浸水想定区域に住む人口が減らないことがあるが、ハード対策に限界がある以上、ハザードマップの活用や早期避難の啓発というソフト対策をさらに強化しなければならないことは自明だ。

P1 都道府県別 水害被害額マップ 2013 2022 - 水災害の季節―リスクへの取組み
ソニー損害保険「過去10年の水害被害額を振り返る」より「都道府県別 水害被害額マップ2013-2022」。年々、気象災害の激甚化が予想され、大雨や短時間に降る強い雨の頻度はさらに増加する可能性が高い。毎年水災害が繰り返される背景には、浸水想定区域に住む人口が減らないことがあるが、ハード対策に限界がある以上、ハザードマップの活用や早期避難の啓発というソフト対策をさらに強化しなければならないことは自明だ

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●過去10年 都道府県別水害被害額 福島県最多、西日本リスク大
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 ソニー損害保険株式会社(以下「ソニー損保」)は、損害保険の利活用に向けて各種情報発信を行っているが、このほど、国土交通省が公表している過去10年間(2013年~2022年)の水害被害額を参考に、都道府県別の水害被害額マップを公開、また過去の自然災害についても振り返りをとりまとめている。また、今年度(2024年度)を目処に改定予定の火災保険の解説と自然災害の被害を補償する火災保険について改めて紹介している。

 それによると、過去10年間(2013年~2022年)の水害被害額の1位は「福島県」で、その額は7000億円を超え、2位の広島県と比較すると、その差は約2700億円と大きい。上位5県をみると、福島県以外の広島県・岡山県・熊本県・福岡県は西日本に属しており、西日本で水害被害額が大きい傾向にあることがわかる。6位から10位は東日本に属する都道府県が続き、被害額は3000億円前後となっている(下図参照)。

P2 1 水害被害額(ソニー損保資料より) - 水災害の季節―リスクへの取組み
ソニー損保資料より、過去10年(2013〜2022年)の水害被害額合計が多い上位10都道府県。下:年別の全国水害被害額 合計

 全国の過去10年間の水害被害額を合計すると、その額は約7.2兆円にのぼり、2018年が約1.4兆円、2019年が約2.1兆円と、この2年間だけで過去10年間の水害被害額の約半分(49.1%)を占める。

ソニー損害保険:過去10年の水害被害額を振り返る 被害総額は7兆円以上

 こうした被害額の拡大で保険金の支払いが増加傾向にあり、2024年度を目処に火災保険料が改定される見通しだ。2023年の参考純率の改定は、2014年以降最大となる全国平均で13.0%の引上げとなり、各社の火災保険料に順次反映される見込みとなっている。

P2 2 自然災害の増加が原因で火災保険料が2024年度から値上げ予定 - 水災害の季節―リスクへの取組み
自然災害の増加が原因で火災保険料が2024年度から値上げ予定(ソニー損保資料より)

 また、保険契約者間の公平化を図る目的で、水災リスクに応じて5段階に料率が細分化される。水災リスクが最も低い「1等地」から最も高い「5等地」の5つに区分され、水災リスクが高いエリアに住む人の火災保険料が値上げとなる可能性がある。居住エリアの自然災害リスクを正しく把握し、補償内容について適切な選択や見直しを行うことが重要だ。

 料率改定に先立って、損害保険料率算出機構のウェブサイト上で、住まいの市区町村がどの水災等地に分類されるかを検索することができる。

損害保険料率算出機構:水災等地検索

P2 3 水災リスクに応じて水災料率を5区分に細分化 - 水災害の季節―リスクへの取組み
水災リスクに応じて水災料率を5区分に細分化(損害保険料率算出機構資料より)

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●水害リスクを踏まえた土地利用や住まい方、企業の立地選択も
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 国土交通省はこのほど「水災害リスクコミュニケーションポータルサイト」を開設した。これは、主に民間企業や行政機関などが自らの水災害リスクを確認し、平常時において主体的な減災行動をとることができるよう、有益な情報を一元的に集約したサイトで、知りたい事項ごとに情報の使い方などを紹介している。
 例えば――

 ・水災害リスク情報にはどのようなものがあるのかを知りたい
 ・【浸  水】 浸水の範囲や深さが知りたい
 ・【浸水頻度】 浸水の頻度を知りたい
 ・【家屋倒壊】 氾濫時に家屋の流出や倒壊のおそれがある箇所が知りたい
 ・【土砂災害】 土砂災害の危険性・避難のタイミングが知りたい
 ・水災害のリスクと不動産情報

国土交通省:水災害リスクコミュニケーションポータルサイトを開設

P2 4 水災害のリスクと不動産情報を一目で知る - 水災害の季節―リスクへの取組み
水災害のリスクと不動産情報を一目で知る。国土交通省「水災害リスクコミュニケーションポータルサイト」より

〈2024. 06. 15. by Bosai Plus

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