P2 1 2024年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震(気象庁資料より) 640x350 - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生

[速報]2024年1月1日16:10に大地震、被害拡大中

震度7の揺れの観測は7回目
日本海側の大津波警報は南西沖地震以来、約30年ぶり

P1 にげろ!(火災も/日テレより) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
本紙は東京拠点だが、1月1日午後4時10分の緊急地震速報が、能登半島での地震を知らせるものであることを知り、東京の揺れ予測が震度3であることを訝(いぶか)しんだ。さらに、その地震の最大震度が「7」で、マグニチュード7.6であること、その揺れが本州・四国のほぼ全域と九州・北海道の一部を含む45都道府県に及ぶことを知り、震撼した。テレビ報道では、津波避難を呼びかけるアナウンサーの必死な声が、「にげろ!」を叫んでいた(日本テレビ速報画面より)

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●石川・能登で震度7 「大津波 にげろ!」とテレビ報道緊迫
 大地震群発の能登 被災者の不安さらに高まる
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 2024年1月1日16時06分、石川県能登地方を震央とする最大震度5強の地震が観測された。そのおよそ4分後の16時10分の地震では、能登地方でマグニチュード(M)7.6・最大震度7が石川県志賀町(しかまち)で観測(震源は輪島の東北東30km付近、ごく浅い)されたほか、本州・四国のほぼ全域と九州・北海道の一部など、45都道府県で震度6強~1の揺れを観測した。

P2 1 2024年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震(気象庁資料より) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
2024年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震(気象庁資料より)

 能登地方で観測した地震としては記録が残る1885年以降で最大となる。震度7の激しい揺れを観測したのは、1995年1月の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)、2004年10月の新潟県中越地震、2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)、2016年4月の熊本地震(14日と16日の2回)、2018年9月の胆振東部地震に次いで7回目だ。気象庁はこの地震を「令和6年能登半島地震」と命名した。

 それ以降も規模の大きな余震が断続的に続き、1日16時06分の震度5強を含めると、1月3日午前7時までの48時間に観測された最大震度5弱以上の地震は12回を数えた。一連の地震のなかで、石川県能登で長周期地震動階級4を観測した。
 気象庁は、今後も最大震度7程度の地震が発生する可能性があるとして、注意を呼びかけている。なお、気象庁は1月1日23時05分に、石川県能登地方で最大震度7を観測した旨を震度速報で発表したが、実際に観測された最大震度は3で、約10分後に震源・震度情報を発表、正しい震度にお詫び・訂正している。

P2 3 令和6年能登半島地震 1月3日7時までに発生した最大震度5弱以上の地震履歴(tenki - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
令和6年能登半島地震 1月3日7時までに発生した最大震度5弱以上の地震履歴(tenki.jp資料より)

 地震の発震機構は、北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、発震機構と地震活動の分布及びGNSS観測の解析から、震源断層は北東-南西に延びる150km程度の主として南東傾斜の逆断層であると考えられている(国土地理院資料より)。GNSS観測によると、この地震に伴い輪島観測点で西南西方向に1.2mの変動、上下方向では1.1mの隆起(いずれも暫定値)が確認されるなど、大きな地殻変動が観測された。また、だいち2号による観測データの解析によると、輪島市西部で最大約4mの隆起および約1mの西方向への変動(いずれも暫定値)が観測された。

 津波警報は、地震発生から12分後の16時22分に、大津波警報(3m以上)が石川県能登、津波警報が山形県、新潟県上中下越、佐渡、富山県、石川県加賀、福井県、兵庫県北部に、津波注意報が北海道太平洋沿岸西部、北海道日本海沿岸北部、北海道日本海沿岸南部、青森県日本海沿岸、秋田県、京都府、鳥取県、島根県出雲・石見、隠岐、山口県日本海沿岸、福岡県日本海沿岸、佐賀県北部、壱岐・対馬などに発表され、気象庁は沿岸部や川沿いにいる人はただちに高台や避難ビルなどへ避難するよう呼びかけた。日本海側での大津波警報は1993年北海道南西沖地震以来、約30年ぶりとなる。

P2 2 大津波警報(石川県能登)を発表(気象庁資料より) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
大津波警報(石川県能登)を発表(気象庁資料より)

 これを受けて、テレビ報道各局は、テレビ画面に「津波危険」、「にげて!」の文字を繰り返し映し、とくにNHKではアナウンサーが緊迫した強い口調で避難を呼びかけた。この事態に視聴者のなかには、対象地域の住民はもとより、正月帰省の旅行者などの避難経路・避難先の情報収集を心配した向きも少なくなかったろう。
 とくに日没時間と重なり、倒壊家屋や地割れ・損傷した道路・グロック塀、がけ崩れなどのなかをたどって避難所、高台へ避難する困難さが想像された。

 そして、輪島市などでは大規模な火災もおき、有名な朝市の一帯も焼失した。まさに阪神・淡路大震災、東日本大震災の悪夢のデジャヴであり、津波規模への懸念も交錯した。
 いっぽう、偽情報も一部で流布したようだ。東日本大震災時の映像を今回の地震と合成したものや、偽の救助要請などもあったという。発災当初の救助・救援活動を妨げかねない偽情報は、厳しく規制しなければならない。

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●被災者・被災地支援も余震規模に注意
 徐々に明らかになる被害 救援支援体制に万全の備えを
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  令和6年能登半島地震による被害は、1月3日14時30分現在、以下の通りだが(総務省消防庁発表)、石川県輪島市では多数の軽傷者が発生しており、被害の全容把握に向けて調査中のため、まだ反映されていない。
▼死者は石川県で62人。家屋全壊は石川県で146棟、富山県で2棟、新潟県で1棟、計149棟、家屋半壊は石川県で20棟、新潟県で1棟、計21棟
▼延焼火災は石川県輪島市の輪島朝市周辺で約200棟が燃えた。
▼避難者・避難所は石川県で約10,000人が避難所に滞在しており、富山県では避難所は設置されていないが、自主的に避難した人が約100人

P2 4 避難所の様子(NHKテレビより) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
避難所の様子(NHKテレビより)

 日本政府は非常災害対策本部会議で多数の家屋倒壊等の被害を確認、またライフラインについても、停電は石川県で約3万4600戸で発生、ガスは石川県の約800戸以上の供給支障が発生、断水は石川県など3県の11万5600戸以上で発生、通信障害は石川県、新潟県の一部で固定電話及び携帯電話のサービスに支障が出ていると公表している。これに対応すべく、政府は迅速な救援支援体制を整えようと努めている。

 災害発生後、政府は総務省消防庁を中心に、自衛隊、警察、消防、海上保安庁、医療機関、自治体等の関係機関を総動員し、救援支援活動を展開した。また、被災者の生命・身体の安全確保、住居・生活の再建、社会インフラの復旧・復興、経済活動の回復等に向けた支援に着手している。
 政府以外にも多くの団体が支援活動を開始している。日本赤十字社、国際緊急援助隊、日本ユニセフ協会、日本国際ボランティアセンターなどが、民間支援体制も整えられつつある状況だ。

P3 4 総務省消防庁発表「人的被害・住家被害」(1月3日14時30分現在) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
総務省消防庁発表 令和6年能登半島地震「人的被害・住家被害」(1月3日14時30分現在)
P3 1 ビル倒壊(NHKテレビより) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
ビル倒壊(NHKテレビより)
P3 2 延焼火災(NHKテレビより) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
延焼火災(NHKテレビより)
P3 3 偽情報に注意(NHKテレビより) - 2024年「令和6年能登半島地震」<br>元日に勃発<br>震度7 津波発生
偽情報に注意(NHKテレビより)

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●異常な大地震の群発 2018年から…昨年も、一昨年も 
 原因の特定はできず 海底震源域の拡大でさらに津波発生も
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 能登地方では、2018年ごろから地震が断続的に続いている。とくに2020年12月ごろから地震活動が活発化(能登群発地震)し、22年6月には震度6弱、23年5月には震度6強の大地震に襲われた。今回の地震は一連の群発地震のなかでも最大規模で、今回の地震以降、佐渡島の西方から能登半島西方にかけての約150kmの範囲にわたって、地震活動域が広がっているともされる。

 昨年(2023年)5月5日14時42分ごろ、能登地方でM6.5の地震が発生。震源の深さは12kmで、石川県珠洲市(すずし)で震度6強を観測したほか東北地方から中国・四国地方にかけて震度5強~1を観測。この地震で屋根を修理していた男性1人が転落して死亡したほか、石川県内で住宅や神社の鳥居が倒壊するなどの被害が出た。同日5日21時58分ごろに再び同地方でM5.9の地震があり、珠洲市で最大震度5強を観測した。

 2021年9月16日には、それまでの最大震度5弱の地震が発生している。23年5月5日の震度6強・5強の連続地震の揺れなど、大地震群発に住民に不安が広がるが、原因は特定されていない。ちなみに、この周辺では2007年3月25日の能登半島地震(M6.9)も知られる。

 気象庁は震度6強の地震の緊急地震速報に、「長周期地震動速報」も合わせて発表、能登地方では4段階で最も大きい「階級4」と予測した。長周期地震動の予測階級や観測階級は、対象地域にビルなどの高層建造物が存在した場合を想定して地震波から計算して発表する。23年5月の地震では石川県珠洲市で予測より小さい「階級3」とした。「階級3」は「人が立っているのが困難となり、固定していない家具が動くことがある」というもの。

 地震本部・地震調査委員会は、5月5日に2度の地震が相次いだことを受けて臨時会合を開き、「余震が北方沖の地下で多発している。6強の地震では沿岸で0.1m程度の海面変動を観測。付近の海底には過去に同様の逆断層型地震を起こした活断層があり、海底で規模の大きな地震が発生した場合、津波に注意する必要がある」と指摘した。

 能登半島の珠洲市周辺では、2018年ごろから地震の回数が増加、活発な地震活動が続いており、2021年9月16日に最大震度5弱の地震、22年3月23日には最大震度4の地震が発生した。
 2022年5月の震度6強の揺れに住民に不安が広がったが、原因は特定されていないものの、地下の“流動体”のかかわりが指摘されている。

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●「揺れる日本地殻変動帯」のデジャヴ
 いつ・どこでも起こる地震災害に 本年も要警戒
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 2023年5月5日の能登半島でのM6.5・M5.9の連続地震、5月11日の千葉県南部でのM5.2にさらに続いて、同11日12時11分ごろ、南西諸島海溝周辺となる鹿児島県のトカラ列島近海を震源とするM4.4(十島村で震度4)、同11日18時52分ごろ、北海道の日高地方東部を震源とするM5.4の地震があり、北海道浦河町と幕別町で最大震度4、盛岡市などでも震度3を観測。同12日21時45分ごろには愛媛県南予を震源とするM4.2の地震があり、大洲市、久万高原町(くまこうげんちょう)で最大震度3を観測。さらに、同13日16時10分ごろ、再びトカラ列島近海を震源とするM5.1の地震があり十島村の中之島で震度5弱を観測している。

 このように、大規模地震にはならなかったが、昨年(2023年)も日本列島の地殻変動が不気味に続いている。本紙は2022年4月3日付け記事でも「揺れる日本地殻変動帯列島」と題した記事を掲載した。

WEB防災情報新聞:揺れる日本地殻変動帯列島

 同記事では政府の地震本部・地震調査委員会による22年3月25日公表の、①「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動」について「長期評価・第2版」と、②「日本海南西部の海域活断層の長期評価(第1版)―九州地域・中国地域北方沖」を、さらに、石川県能登地方(珠洲市付近)での頻発地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の最終報告概要を紹介している。
 まさに、いつ・どこでも起こる地震災害に、龍(辰年)の本年も要警戒なのだ。

〈2024. 01. 04. by Bosai Plus

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