広島土砂災害の教訓、被災者の声と映像で語り継ぐ
「平成26年8月豪雨」(気象庁命名)による「広島市土砂災害」は、2014年8月20日に広島県広島市北部の安佐北区や安佐南区の住宅地などで発生した大規模な土砂災害だ。
「数百年に1回程度よりはるかに少ない確率」で発生した記録的集中豪雨により、広島市のまとめでは、土砂災害166カ所(うち土石流107カ所、がけ崩れ59カ所)が発生。同災害における死者は77人(直接死74人、災害関連死3人)となっているが、国土交通省によると日本での土砂災害による人的被害としては過去30年間で最多。
この大規模土砂災害は「都市型土砂災害」とされ、砂防だけの問題ではなく都市計画・地域計画・防災計画におけるさまざまな課題・問題点が浮かび上がった点でも特筆される。
この広島土砂災害の被害や教訓を伝えるため、広島市が安佐南区八木地区に建てた「広島市豪雨災害伝承館」が、本年9月1日に開館した。
伝承館はJR梅林駅の北約250mに鉄筋2階延べ約500平方mを新築。1階には最大120人を収容できる研修室を設け、100種類の講座を用意している。被災した住民や外部講師が、学校や自主防災組織、企業などの要望に応じて研修講座を開く。2階の展示エリアでは、土石流をCGで再現した映像や、被災者が災害発生時や避難生活の体験を語る動画を流す。土砂災害のメカニズムや備えのポイントもパネル展示で解説する。
市は「訪れた人の減災への意識を高め、災害に強い地域づくりをめざす」としている。
〈2023. 09. 15. by Bosai Plus〉