気象庁、気象災害発生時の防災気象情報等のアーカイブ公開
気象災害発生時の状況の振り返り、災害対応のシミュレーションなど、
自主防災などの防災対応への活用を期待
気象庁「防災気象情報に関する検討会」の指摘を受け、気象庁は去る5月23日、平時から気象災害発生時の状況を振り返り、今後の防災対応に活かすことができるよう、当時の気象庁ホームページにどのような防災気象情報や気象データが掲載されていたかをまとめて閲覧できるページ「過去の主な災害時の情報発表状況」を公開した。
このページでは、過去の主な災害時に発表されていた防災気象情報等をほぼそのまま再現、大雨特別警報の発表や台風の進路、線状降水帯の発生などの情報アーカイブを、実際に見ながら、平時における気象災害への備えの参考、防災教育の素材とすることができるほか、地域防災での災害対応訓練の実施や災害に対応するための計画の策定など、様々な用途で活用できる。
同ページでは、2022年以降の事例を掲載することとしていて、現時点で2022年台風第14号(22年9月中旬に列島を縦断し、宮崎と鹿児島に特別警報が出された)と、2022年8月3~5日の大雨事例(2022年8月初旬に、青森、秋田、山形、新潟、福井で線状降水帯が発生)を掲載。今後、大きな気象災害が発生した場合に事例を追加していく。
気象警報・注意報や台風の進路のほか、雨雲の動き、アメダスの降水量、土砂災害の危険度分布などを時系列で見ることができ、「あなたの街の防災情報」「キキクル」「指定河川洪水予報」なども表示できる。気象庁では引き続き、大雨の観測・予測技術の向上、情報の改善に努めていくとしている。
気象庁:気象災害発生時に発表した防災気象情報等のアーカイブの公開
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●台風の予報円が「小さく」なる 5日先も最大40%小さくなる
気象庁、「引き続き予測精度向上に取り組む」
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気象庁は去る6月26日、数値予報技術等の改善を踏まえ、台風進路予報の予報円の大きさと、暴風警戒域を現在よりも絞り込んで発表すると公表した。この改善は、同日6月26日以降に発生する台風に対し適用される。
気象庁では、台風の進路を予報する際には、予報の誤差を考慮して、台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲を円(予報円)で示している。近年、数値予報技術等の改善により台風進路予報の精度が向上していることを踏まえ、台風進路予報の予報円の大きさと、暴風警戒域(台風の中心が予報円内に進んだ場合に風速25m/s 以上の暴風となるおそれのある範囲)を現在よりも絞り込んで発表するよう改善する。
とくに、3日先以降の予報円が大きく改善し、5日先の予報円の半径はこれまでと比べて最大40%小さくなるという(下図参照)。
気象庁は、今回の改善により、タイムラインに沿った自治体の防災対応や住民の防災行動をより適切に支援できるようになることが期待されるとし、引き続き台風進路予報精度の向上に取り組んでいくとしている。
【参考情報】
} 余談だが、米国ハワイの「米軍合同台風警報センター(JTWC)」が発表する台風情報でも日本に接近する台風の進路情報を見ることができる。本来は米国政府機関による利用を意図した情報だが、一般人もアクセス可(通常は6時間おきに情報を更新)。
Joint Typhoon Warning Center (JTWC)
また国立情報学研究所が公開する「デジタル台風」は、台風のデータベースを提供するウェブサイト(運営者:北本朝展)。台風についての“博覧強記”サイトだ。
〈2023. 07. 05. by Bosai Plus〉