4a パネルディスカッションの模様(6月11日) - 「防災教育学会 第4回大会」

学校における防災教育のシステム化
 防災教育力(知識・行動・意識)の高まりに期待

《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》

1 「防災教育学会 第4回大会」のチラシ - 「防災教育学会 第4回大会」
「防災教育学会 第4回大会」のチラシ

 「防災教育学会 第4回大会」が去る6月10日・11日、関西国際大学 尼崎キャンパス(兵庫県尼崎市)で開催された。今回が4回目の大会で、当日は大学教員・教育関係者・学生など約100人が参加した。
 また同大会では研究発表(口頭・ポスター)、総会、懇親会が同時開催された。

 防災教育学会は防災の研究者・実践家と教育の研究者・実践家が研究領域を超えて協力し、防災教育をけん引していくという理念のもと、2020年4月に創設されている。
 学校現場の教職員や防災士、語り部、災害体験者、学生など、多様な専門分野、背景を持つ会員が集まり、具体的な活動としては、「防災教育実践の整理・評価、さらなる質的向上と量的拡大、学校教育への位置づけ、大学の教職教育における防災・安全教育カリキュラム研究、地域での継続的取組み支援などの追求」としている。

 防災教育学会の今日的な問題意識として、学校での防災教育の実施時間(どの時間を使うか)、実施内容・方法の明確化(何をどう教えるか)、実施主体(教職員か外部支援者か)などの課題が、また地域においても担い手不足などがあり、その拡がりに課題があるという。いっぽう、「わがこと意識」の欠如からマンネリ化した訓練の繰り返しやあやふやな先進事例の模倣も見られ、正確さに疑問が残る実践も少なからずあることから、防災教育の実践についてさらなる整理と評価が求められているという。

■パネルディスカッション、基調講演

 「トルコ・シリア大地震からの復興をめざして」をテーマにエミン・オズダマル氏(土日基金副理事長)、吉椿雅道氏(CODE海外災害援助市民センター事務局長)、児玉美樹氏(アジア防災センター研究部次長)、諏訪清二氏(防災教育学会会長)がパネリストとして登壇し、2023年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震現地の現状・課題などについて議論。その後に募金贈呈式が行われた。

 基調講演は木下史子氏(文部科学省総合教育政策局安全教育調査官)が「学校における防災教育の充実」をテーマに防災教育の実践例として、地域防災マップ作成・避難訓練などを取り上げて「学校と地域との連携・協働の仕組みを活用した学校安全の取組みが重要だ」と述べた。

2a 木下史子氏の基調講演の模様 - 「防災教育学会 第4回大会」
木下史子氏の基調講演の模様

 パネルディスカッションは前出の木下氏、和井田節子氏(共栄大学 教育学部教授)、小田隆史氏(東京大学大学院総合文化研究科准教授)、田中綾子氏(関西国際大学経営学部准教授)がパネリストとなり、指定討論者3名が大会テーマである「学校における防災教育のシステム化」について、和井田氏は「大学の教職課程における防災教育の3つの視点(授業に何を入れるか、様々な授業に入れられないか、教職員全体の防災教育力を高められないか)」、小田氏は「学部学生・教職大学院生向けの学校防災カリキュラムの充実」、田中氏は「防災教育演習での防災訓練の企画実施、小学校での防災出前授業」について報告した。

3a パネルディスカッションの模様(6月10日) - 「防災教育学会 第4回大会」
パネルディスカッションの模様(6月10日)
4a パネルディスカッションの模様(6月11日) - 「防災教育学会 第4回大会」
パネルディスカッションの模様(6月11日)
5a 募金贈呈式の模様 1 - 「防災教育学会 第4回大会」
募金贈呈式の模様

■学校における防災教育の重要性

 防災教育学会大会を通して「教員をめざす学生にとっても防災教育を学ぶこと」が重要だと実感させられた。大学教職員・学生・地域を巻き込んだ取組み・活動を通して、課題・気づきが見つかり、防災教育力(知識・行動・意識)が高まり、「学校安全」につながることに期待したい。

※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。

▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。

▼参考リンク:
防災教育学会

関西国際大学

コメントを残す