《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「障がい者の防災について」(主催=特定非営利活動法人かめのすけ、受託=認定特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク)が去る6月15日、西宮市立勤労会館(兵庫県西宮市)で開催され、NPO法人かめのすけのスタッフ、学生、一般などを含む約25人が参加した。障がい者を含めて、災害時に安全な避難方法、最悪状況を想像し「生き延びる」ための方法について体験を通じて考えることが目的。
冒頭、萩野茂樹氏(認定特定非営利活動法人日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)監事、津市ボランティア協議会・副会長)が「障がい者の防災について」をテーマに講演した。
阪神・淡路大震災、熊本地震、西日本豪雨でボランティア活動を行ったときの様子を写真で紹介、「被災地に入って支援をしていると、災害状況は災害ごとに異なり、実際に現地を見てみないとわからない。日頃からの訓練のなかで問題点や課題を見つけ出し、その原因や解決策を探ることで今後の災害対応への備えができる」と述べた。
■講演、ワークショップ
続くワークショップでは、布担架で人を運ぶ訓練、ガレキで足場が不安定な場所などの悪路を想定した車椅子介助の疑似体験を行った。車椅子介助は、発泡スチロールのブロックとダンボール箱を使用して災害現場を再現し、車椅子をどのように扱って障がい者を移動させるか、参加者同士で工夫しあった。
■体験の重要性を再認識
講演とワークショップは、災害時にどのように行動すればより効果的な支援ができるのか、その一端を考えさせてくれる貴重な体験・訓練であった。担架・車椅子を実際に触ってみることで新たな気付きを発見できることから、「講演+体験」のように「学んだ課題をからだで検証する」イベントに大きな可能性を感じた。
今後、このようなイベントが、いろいろな分野でさらに増えることを期待したい。
リポーター(片岡)自身も、今回の体験を通して、「お互いに声を掛け合いながら移動することで、支援行動をスムーズに展開できる」ということを実感した。支援者同士、そして障がい者との連携、日頃からのコミュニケーションづくりが重要だということである。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障害を持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
>>特定非営利活動法人 かめのすけ
>>認定特定非営利活動法人 日本災害救援ボランティアネットワーク(NVNAD)
〈2019. 06. 25. by Bosai Plus〉
今回、ご取材頂きありがとうございました。発災時、障害を持った方がどう逃げるかについての訓練は余り実施されていないようです。行政の場合、怪我をしたらどうするのか?との懸念からリアルな訓練に二の足を踏む事が多いですが、安全に運営するノウハウを含め拡がって行って欲しいものです。