P1d 東京都大田区「防災ハンドブック」より - 子どもの「自助防災」

子どもだけで外出時に災害 子ども自助防災、どうする?

地域防災の観点からも「子ども自助防災」は大切なテーマ。
低学年防災教育を改めて考える

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●子どもだけで外出中に災害、親・保護者との連絡に公衆電話を使えますか?
 硬貨利用なら公衆電話は停電時も平時と同様利用できます
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P1a お子さん、公衆電話使えますか? - 子どもの「自助防災」
イメージカット(ACフォトより)

 5年ほど前、NTT東日本による調査結果(2017年12月)から、公衆電話を使った経験のない小学生が8割を超えることが明らかになり、社会的な話題となった。公衆電話は、停電や災害などの緊急時に重要な通信手段となるが、携帯電話やスマートフォンの普及により、利用機会や設置台数は減少傾向にある。

 総務省情報通信白書によると、全国の公衆電話の設置台数はもっとも多かった1984年度の93万4903台に対し、2022年3月末時点における日本国内の公衆電話総数は13万7649台と、85%も減少している。

P1b (イメージ)いつもしも:ランドセルの子ども(「いつもしも」より) - 子どもの「自助防災」
TAG(東京都練馬区)が運営サポートするママ向け防災メディア『いつもしも』から「子どもに公衆電話を使わせてみた」より

 そのいっぽうで、災害時に無料で使用できる災害時用公衆電話(特設公衆電話)は、とくに東日本大震災以降、自治体の協力を得て事前配備を進め、東日本大震災以前の7310台から、2022年9月末時点で5万1043台へと増設されているという。
 公衆電話は、通信ビルから電話回線を通じて電力の供給を受けているため、硬貨利用であれば停電時でも平時と同様に利用できる。東日本大震災時では、3月11日の東日本全域の公衆電話の通信回数が前日比約10倍を記録している。

P2 1 「全国子ども防災作文コンクール」より - 子どもの「自助防災」
全国子ども防災作文コンクール実行委員会(事務局:一般社団法人健康生活推進機構)主催の「全国子ども防災作文コンクール」はこれまで毎年4回開催されている。日本防災士会が協賛

 子どもが公衆電話の使い方を知らない――子どもが登下校時、公園に遊びに出かけた先で、あるいは留守番時に大きな災害や危険状況に遭遇したら、親・保護者にどのようにして助けを求めるのか。そこで本項テーマは、「子どもの防災自助」となる。

 本紙は以前、米国国土安全保障省(DHS)が2008年秋、子ども向け非常時対応教育キャンペーン「Ready Kids Campaign」の一環として「セサミワークショップ」と提携して制作されたテレビ番組「セサミストリート」での子ども防災を紹介した。子ども(幼児)に自分の名前、親の名前、住所などが言えるように教えていることに納得感があった。わが国でも、災害多発を背景に、近年、防災・防犯の基本を子どもに啓発する動きが盛んだ。日本防災士会でも、「全国子ども防災作文コンクール」を協賛し、子どもたちの防災意識啓発に努めている。また自治体においても、子ども防災をテーマに、あるいは「防災タイムライン(行動計画)」の家庭版、「子ども自助防災」に力を入れるところが増えている。

日本防災士会協賛:全国子ども防災作文コンクール

東京都大田区:子ども向け「防災ハンドブック」

P1d 東京都大田区「防災ハンドブック」より - 子どもの「自助防災」
東京都大田区が発行する子ども向け「防災ハンドブック」から地震時に「大人の人に助けを求める」より図版引用

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●公衆電話ってなに? 子どもは使い方どころか公衆電話を知らない
 「非常口」を読める? 低学年ではまだ漢字がわからない
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 本号巻頭の図版カットは、TAG株式会社(東京都練馬区)が運営サポートするママ向け防災メディア『いつもしも』から「子どもに公衆電話を使わせてみた」、東京都大田区が発行する子ども向け「防災ハンドブック」などからの引用で、こうしたガイドを参考に、各家庭でも、改めて、「子ども自助防災」を話題にしてほしいところだ。

 そこでまずは、子どもの年齢別・理解度別にはなろうが(『いつもしも』の子どもは主に小学生を対象)、公衆電話のかけ方をはじめ、子どもが一人でいるときの「自助」のヒントを啓発する前述のTAGによる子ども向け防災学習コンテンツ『いつもしも with Kids』から、「子どもに公衆電話を使わせてみた」をお薦めしておきたい。

いつもしも:子どもに公衆電話を使わせてみた

 この“チャレンジ”へのきっかけは、小学生のママである『いつもしも』スタッフの何気ない一言、「うちの子、非常口がわからなかったの。読めなくて」だったという。「口」は小学1年生で習うが、「非」「常」を習うのは小学5年生。「ひじょうぐち」という言葉や、もしものときに「ひじょうぐち」から逃げることを知っていても、「非常口」の案内表示が読めなければ、そこに向かえない。消防法で規定されている誘導灯や誘導標識にはわかりやすいピクトグラムが描かれているが、ただ「非常口」との表示だけのものも多い。小学校低学年の子どもたちにそうした防災教育がどこまでなされているのだろうか。

P2 2 外出時子どもに持たせるもの - 子どもの「自助防災」
TAG「ママたちに聞いた:令和の小学生の防災・防犯のホンネ」より「外出時子どもに持たせるもの」。調査対象が7名と少ないが傾向は参考になる

 公衆電話についても、使うのは初めてどころか、そもそも公衆電話という言葉、存在を知らないこともあり得る。キッズ携帯やスマホを持っていない子どもはどうやって親・保護者に自分の危険状況を知らせるか、早速考えるべき大切なテーマではないか。ちなみに、スマホやキッズ携帯を持っている子についても、モバイルバッテリーや充電用のケーブルなどの充電グッズも持たせて、とアドバイスをしている。

TAG:子どもは「非常口」を読める? 習う前に楽しく学ぶ防災知識

 TAGのママ向け防災メディア『いつもしも』は、子どもが4月の進級を控えたこの時期、7名のママにWebインタビューを実施。「子どもだけで外出させる際、安全のためにしていること、決めていること」、「子どもの留守番や放課後遊びどうしてる」などの回答を得ている。この企画には“ママ”だけに向けたもので“パパ”はどうなの?という疑問もあるが、広く地域防災のあり方を考えるうえでも参考になるのでご一読を。

P2 3 留守番の子どもの防災対策 - 子どもの「自助防災」
TAG「ママたちに聞いた:令和の小学生の防災・防犯のホンネ」より「留守番の子どもの防災対策

TAG:【ママたちに聞いた】令和の小学生の防災・防犯のホンネ

TAG:子ども向け防災学習コンテンツ『いつもしも with Kids』

〈2023. 03. 01. by Bosai Plus

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