日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震――
8道県272市町村を「対策推進地域」、
108市町村を「特別強化地域」に指定
本紙10月6日付けで、中央防災会議「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」が、「巨大地震の想定震源域及びその周辺でM7.0以上の地震が発生した場合、後発の巨大地震への注意を促す情報」として、マグニチュード(M)7クラスの地震が起きた場合、その後の巨大地震の発生に注意を呼びかける情報の名称を「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」とする案を了承したことを報じ、また、同記事で、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震など最大級の地震と津波が発生した場合の被害想定をまとめた「岩手県地震・津波被害想定調査報告書」の概要を紹介した。
こうした動きに続いて去る9月30日、中央防災会議は、日本海溝・千島海溝巨大地震の「防災対策推進基本計画」をまとめ、最大死者数約19万9000人と推定された人的被害を向こう10年で約8割減らす減災目標を掲げた。同計画では、8道県272市町村を「対策推進地域」に、このうち特に甚大な津波被害の恐れがある108市町村を「特別強化地域」に指定し、国の財政支援を強化することとしている。
【 防災対策推進地域の指定基準 】
(*表題から「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」を省略)
(1)震度に関する基準
震度6弱以上(関係道県等が個別地域の状況を踏まえて実施した被害想定や防災アセスメントの結果、震度6弱以上となる市町村を含む)
(2)津波に関する基準
「大津波」(3m以上)が予想される地域でこの水位より高い海岸堤防がない地域
(3)防災体制の確保等の観点
「周辺の市町村が連携することで初めて的確な防災体制がとれる地域は、これを配慮した地域とする」こととし、その具体的運用は以下のとおり。
・広域防災体制の一体性(消防、水防、医療、ごみ処理、上水道など)
・周囲を指定候補市町村に囲まれている市町村
(4)過去の地震による被害
○過去に発生した日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震で、特殊な地形の条件等により大きな被害を受けた地域は、これを配慮した地域とする。
○ 「過去に発生した地震により大きな被害を受けた地域」という判断は、確かな古文書・調査記録などに記録された個々の市町村の被害記録をもとに、当該地域の揺れを震度階級に換算したものが震度6弱以上となる市町村
【 津波避難対策特別強化地域の指定基準 】
(*表題から「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」を省略)
○陸上において津波により30cm以上の浸水が地震発生から40分以内※に生じる地域とする。※積雪寒冷地域以外は30分以内(茨城県以南)。
各道県独自の被害想定で、地震の揺れに伴い堤防が沈下する等の設定で、津波が到達する前に浸水が発生するという想定の場合は、「30分または40分以内の津波による浸水」とはみなさないものとする。
○特別強化地域の候補市町村に挟まれている沿岸市町村は、防災体制の確保の観点から、これを配慮した地域とする。
○同一道県で市町村が実施する津波避難対策の一体性の確保を図る必要が高い場合は、弾力的に対応する。その際、浸水深や浸水面積、人口分布等の地域の実情を踏まえ、現状、津波からの避難が非常に困難であることから、津波により多数の死者が発生することを考慮するものとする。
内閣府(防災担当):日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策 推進地域・特別強化地域
〈2022. 10. 16. by Bosai Plus〉