記録的な早さでの梅雨明けと記録的な天候不順
コロナ禍・猛暑下の「長雨蓄積型」降雨は危険
●不順な天候が続く今夏――コロナ禍・猛暑下の「長雨蓄積型」に要警戒
今年は本州各地域や四国、九州で記録的な早さで6月中に梅雨明けしたが、7月は各地で梅雨に逆戻りしたような不順な天候が続き、激しい雨による被害も相次いだ。
8月に入って3日からは、日本海から北陸地方を通って日本の東にのびる前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、西日本から北日本で大気の状態が不安定となり、局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降った。さらに、8月12日にかけて、北海道や東北北部を中心に次々と発達した雨雲がかかり、北日本では東北地方を中心に、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫が相次いでいる。被災地では、新型コロナ感染症の蔓延下での避難や熱中症への対策など、困難な状況が重なっている。
気象庁は、こうした降雨の状況について「長雨蓄積型」だとして、警戒を呼びかけている。2018年7月西日本豪雨では、1時間に10mm前後、多くても1時間に50mm前後の雨量が続いて自治体や住民が危機感を感じにくい降雨で、2021年7月熱海土石流災害も「長期蓄積型」降雨の後だったとされている。しかし、今回の北日本を中心とする継続的な降雨はすでに各地で観測記録を更新する雨量となっており、土壌に水分が溜まったところに、発達した雨雲がさらに流れ込むと大規模な洪水・土砂災害につながることも十分あり得る。
●局地的に大雨が降る回数は年々増えていく…
折しも、台風8号が伊豆半島に上陸という一報があった(左図。8月13日午後6時)。
台風は“恒例の事象”として、気候変動・地球温暖化の観点から見れば、わが国での「局地的に雨が降る回数=全国の1時間降水量(毎正時における前1時間降水量)50mm以上の年間発生回数」(下図参照)は増加している(統計期間1976~2021年で10年あたり27.5回の増加、信頼水準99%で統計的に有意)。
最近10年間(2012~2021年)の平均年間発生回数(約327回)は、統計期間の最初の10年間(1976~1985年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1.4倍に増加している。
時候挨拶の“天候不順のみぎりご自愛を”は、通年の定型句になりそうな気配だ。
気象庁:全国(アメダス)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数
〈2022. 08. 16. by Bosai Plus〉