産官学民協働「誰ひとり取り残さない災害対応」
愛媛県松山市で事業展開する企業等の有志12社が、地域の防災力を強化することを目的に、「新たな備えサポート隊 in 松山」実行委員会(発起人:DCM株式会社)を立ち上げ、7月25日に松山市(市長:野志克仁)、愛媛大学防災情報研究センター(センター長:バンダリ・ネトラ・プラカシュ)と事業協定を締結した。
「新たな備えサポート隊 in 松山」は、産官学民協働によりこれからの地域防災に求められる「新たな備え」の啓発と、高齢者等支援が必要な世帯への訪問を通じて「誰ひとり取り残さない災害対応」をめざし、活動をスタートさせる。福祉と防災の連携を念頭に、民間が中心となって組織を立ち上げ、産官学民協働で地域の防災強化に臨む取組みは全国でも初めての試みとみられる。
「新たな備えサポート隊 in 松山」実行委員会は、創設の背景を、近年、自然災害の多発と新型コロナウイルスの感染拡大で、地域防災には「新たな備え」が求められているとし、具体的には、避難所での密を避ける「新しい避難」として、①在宅避難、②屋外避難(車中泊・テント泊等)、③疎開避難(親戚・知人宅等への避難)が求められ、避難所が中心であったこれまでの防災支援から、自宅で身を守り安心して過ごすための取組みへ、防災の軸を変える必要に迫られているとしている。
また、これまでの支援は、イベント等での啓発活動や防災器具の購入代金等に関する補助が中心で、防災対策が自力では困難な高齢者等支援を必要とする世帯での具体的な備えに向けたサポートは不十分だという認識だ。
そこで「新たな備えサポート隊 in 松山」の取組み目標として、次の3点を設定――
① 災害の多発化やコロナ禍で求められる「新たな備え」の必要性を広める
② 「 新たな備え」について知識と技術を持った人材「新たな備えサポート隊」を育成
③ 高齢者など、自身で「新しい避難」ができない世帯に「新たな備えサポート隊」を派遣し、自宅での備えをサポート
きめ細かい支援活動を通じた具体的な備えを実現することをめざし、自力での備えがむずかしい高齢者等の世帯を訪問し、安全な「在宅避難」に向けた家具転倒防止器具等の取り付けや備蓄支援、「屋外避難」「疎開避難」のための備えを提案する。初年度は、高齢者等支援が必要な100世帯の防災への備えをサポートする計画だ。
〈2022. 08. 02. by Bosai Plus〉