浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の災害リスク情報、
公共土木施設等の情報を、3Dマップや地図上で確認可
●公共土木施設等に関するあらゆる情報を一元化・オープンデータ化
広島県では、公共土木施設等に関するあらゆる情報を一元化・オープンデータ化し、外部システムとのデータ連携を可能とするインフラマネジメント基盤「DoboX(ドボックス)」を6月28日から運用開始している。DoboXでは、浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの災害リスク情報や、公共土木施設等の情報を、3Dマップや地図上で確認することができる。また、これまで行政内部で利用していた情報をオープンデータ化することで、県民や民間企業、研究機関など、誰でも利用することが可能となる。
そのひとつに3次元点群データ(ドローンなどによる写真測量、地上レーザースキャナーなどによる3次元測量によって得られた3次元座標を持った点の集合、「点群」)があり、県土全体を再現したバーチャル空間の構築や、災害シミュレーション、災害時の被災状況の早期把握などに活用できる。
今後、国が保有する3次元点群データや、道路規制情報、河川水位情報とも連携し、オープンデータの活用を進めるとともに、データを組み合わせた新たなサービスを提供していくとしている。
【 実際の利活用の例(イメージ) 】
《例①》 地域の自主防災組織が取り組む災害図上訓練での活用
DoboXの災害リスク情報の重ね合わせ機能や、地域の危険箇所などの登録機能を利用して、オリジナルマップを作成できるツールにより、オンライン上で災害図上訓練がこれまで以上に効率的・効果的に実施することができる(※自主防災組織で取り組む災害図上訓練などでの活用を予定)。
《例②》 3次元点群データの活用
DoboXから取得する3次元点群データを利用して作成した3次元地形図と民間事業者などで作成した3次元データを組み合わせることで、大規模開発事業の事業説明や、災害時の被災状況の早期把握などで活用できる。
●「広島デジフラ構想」の展開――建設分野のDX化支援
ちなみに広島県では、建設分野における調査、設計、施工から維持管理のあらゆる段階においてデジタル技術を最大限に活用し、官民が連携してインフラ(公共土木施設等)をより効果的・効率的にマネジメント(管理・運営)していくため、「めざす姿」や「具体な取組み案」を「広島デジフラ構想」(2022年3月改訂)としてとりまとめている。そのうち、「めざす姿」としては――
1.新たなサービス・付加価値の創出
① データの一元化・オープン化(インフラマネジメント基盤(DoboX)の構築・運用拡大、地盤情報のオープンデータ化)
② 価値あるデータの整備(県土全体の3次元デジタル化、都市計画基礎調査結果のオープンデータ化)
2.県民の安全・安全の向上
③ 災害リスク情報の発信(個人ごとに異なる災害リスク情報のリアルタイム発信、洪水予測などの水害リスク情報の高度化)
④ 異常気象時の業務効率化(画像情報等の充実・強化、ダム放流操作の精度向上を支援するシステムの構築)
3.県民の利便性向上
⑤ 円滑な物流・人流の実現(ビッグデータを活用した主要渋滞箇所における交通円滑化対策の実施、デジタル技術を活用した港湾物流の高度化・効率化)
ほかに、「生産性向上」、「持続的な変革」(人材育成と官民連携)などをあげた。
〈2022. 07. 19. by Bosai Plus〉