迫りくる南海トラフ巨大地震と大津波
~学校と地域での防災教育~
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「防災教育学会 第3回大会」が去る6月18日・19日、神戸学院大学ポートアイランドキャンパス(兵庫県神戸市)で開催された。同学会は2020年4月に創設された。今回が3回目の大会として大学教員・教育関係・学生などオンラインzoom公開も含めて当日は約150人が参加した。
■エクスカーション「神戸の水害及び震災後のまちづくり」
エクスカーション(体験型見学会)は6月18日に実施され、エクスカーション提供者の森永速男氏(兵庫県立大学特任教授)が「地図から紐解く神戸と災害」をテーマに、神戸市兵庫区にある新湊川、湊川隧道(ずいどう)、会下山(えげやま)公園、松本せせらぎ通りを歩いて解説・見学した。
新湊川は台風7号(1998年)の集中豪雨により、阪神・淡路大震災復旧工事中だった洗心橋付近で溢水し、付近の低地で浸水被害が起きた。
湊川隧道は、1901年に近代土木技術を用いた日本最初の河川トンネルである。現在はミニコンサート・講演会・見学会など保存と活用に向けた取組みが行われている。
松本せせらぎ通りは、震災復興のシンボルとして、住民と市との「協働のまちづくり」により完成した水路で、非常時には、初期消火の水、生活用水として利用することができる。
■基調講演、パネルディスカッション
6月19日は、口頭発表、ポスターセッションの後、基調講演として矢守克也・京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授が「ウィズ災害の視点に立った防災教育」をテーマに講演した。個別避難訓練タイムトライアル、お誘い避難訓練などを取り上げて「“ふだん”と“まさか”、“プレ(前)”と“ポスト(後)”と橋渡し、両者の共存『ウィズ災害』こそが、防災(教育)の鍵だ」と述べた。
パネルディスカッションでは、「南海トラフ巨大地震に向けた学校と地域での防災活動」をテーマに「授業中・休み時間・清掃時間・登下校時など様々な場面を想定した避難訓練、様々な教科の中での防災クロスカリキュラム」など、活動紹介の報告があった。
■防災教育の重要性
防災教育学会大会を通して「防災を日常的に、地域住民と共に助け合い、共に守る」事前の準備の積み重ねが大切であることを実感させられた。
迫りくる巨大地震・大津波に向けて「命を守る、人と人とのつながり」を、防災教育、防災の活動を通して学んでいかなければならないと思う。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼参考リンク:
・防災教育学会
・防災教育学会 第3回大会(YouTube)
・神戸学院大学
・湊川隧道