国立高等専門学校機構による「第4回高専防災コンテスト」
最終審査会の結果発表
独立行政法人国立高等専門学校機構(東京都八王子市、以下「高専機構」)は、国立研究開発法人防災科学技術研究所(茨城県つくば市、以下「防災科研」)と共催する「第4回高専防災コンテスト」の最終審査会を2月18日にオンラインで開催し、最優秀賞をはじめとする各賞を決定した。
高専防災コンテストは、高専生の技術・知見・柔軟な発想力を地域の防災力・減災力向上に活かそうと、2018年度から高専機構と防災科研の共催によりスタートした取組み。地域の防災力・減災力を向上させるアイデアを高専生(チームでも個人でも可)から募集する1stステージと、1stステージを通過したアイデアについて、提案者が検証を行う2ndステージに分かれており、提案者はその検証成果を最終審査会で発表する。
最終審査会に挑んだ9チームが、地域防災に貢献する自分たちのアイデアについて、地域住民や自治体へのヒアリングや、実証実験を重ねて行ってきた検証の成果を発表し、いずれも完成度の高い洗練された内容だった。成果の一部は、コンテストの後も実用化をめざした研究として継続される。
審査結果は以下のとおり――
▼最優秀賞:和歌山工業高専「土砂災害啓発を目的としたRPG防災教育教材の開発」
小学生が興味を持てるRPGゲーム感覚で災害や避難について学習できる教材の開発を実施。日高川町立山野小学校で実際に使用してもらい課題を検証し、和歌山県土砂災害啓発センター、日高川町教育委員会、日高川町(防災センター)からの助言等を開発に反映するなど、広く関係機関を巻き込んだ取組みが高く評価された。
▼高専機構賞:木更津工業高専「避難所運営をサポートするITシステム
Shelter Management And Support System【 SMASS】」
避難所運営の負担を軽減するため、現状紙媒体で行われている避難者情報や物資管理を行うITシステムの構築に取り組み、木更津市立第一中学校で行った実証実験の結果、受付時間の大幅な短縮等の効果が確認できた。
▼防災科研賞:沼津工業高専「知の防災教育の推進と高専間防災ネットワークの構築」
地域住民(三島市・門池地区連合自治会)との密接な関係を生かし、地域のニーズに対応した防災イベントを実施し、また各高専における取組みを共有できる高専間防災ネットワークの有用性について検証した。
▼気象災害軽減コンソーシアム賞:奈良工業高専「パイプハウスの台風対策」
台風等による農業用パイプハウスの被害を防ぐため、強風による浮き上がりを防ぐ構造を提案。パイプハウスメーカー(徳農種苗株式会社)や農家(星乃苺や)へのヒアリングを行った結果、実際のパイプハウスに簡単な設計変更で耐風性を向上させる提案であることが確認できた。
▼ 特別賞:東京工業高専「清掃ロボの環境認識地図を活用した家屋内防災地図生成システム」
清掃ロボットを使用した家屋内の危険区域を洗い出すシステム開発に取り組んだ。清掃ロボットを使用し、汎用性が高い点、機能の拡張性が高い点から、今後の可能性を感じさせる取組みだった。
ちなみに、国立高等専門学校機構は、社会が必要とする技術者を養成するため、中学校の卒業生を受け入れ、5年間一貫の技術者教育を行う高等教育機関として、現在、全国に51の国立高等専門学校(高専)を設置している。卒業生は日本の産業や社会の発展を担う中心的な役割を果たし、ものづくり大国である日本を支える。
また、防災科学技術研究所は、1963年に設立された自然災害と防災に関する研究を行う文部科学省所管の研究所。あらゆる自然災害を対象とした、予測・予防・対応・回復のすべての段階で総合的な研究を推進し、災害に強い社会の実現をめざす。
〈2022. 04. 02. by Bosai Plus〉