image 災害に強い道路 - 【東日本大震災から11年】<br> 東北の未来を拓く<br>復興道路・復興支援道路

観光の振興、物流の効率化、医療支援、
地域産業の振興支援など好影響が期待される…

●津波浸水域を避け、インターチェンジ配置は復興まちづくりと連動

 本紙は本年(2022年)1月1日付けで、昨年末(2021年12月18日)の「震災から10年『復興道路』全線開通」を取り上げ、復興道路=三陸沿岸道路(三陸道)と三陸沿岸と内陸を結ぶ4つの「復興支援道路」全長約570kmの道路網が完成したことを伝えた。震災から11年となった本号は巻頭企画を「復興へ“新しい力”」と題して、復興道路・復興支援道路が被災地にもたらし得る“力”を紹介したい。

P2 1 復興道路・復興支援道路 - 【東日本大震災から11年】<br> 東北の未来を拓く<br>復興道路・復興支援道路
復興道路・復興支援道路による短縮された所要時間の比較(国土交通省資料より)
P2 3 復興まちづくりの拠点「道の駅」 - 【東日本大震災から11年】<br> 東北の未来を拓く<br>復興道路・復興支援道路
復興道路・復興支援道路沿線の「道の駅」等により、復興まちづくりとしての拠点を支援

 三陸沿岸道路は東日本大震災復興の「リーディングプロジェクト」とも位置づけられる大事業で、約2兆2000億円にのぼる総事業費の大半は国費が投じられている。特徴的には、津波浸水域を避けていること、インターチェンジ配置は復興まちづくりと連動することがあげられる。つまり三陸沿岸道路の開通によって復興の軸足が産業再生へ転換する象徴ともなり、物流や観光の面で地域の活性化につながり、今後の災害発生時の減災・復旧にも資するインフラとなることが期待されている。

 国土交通省によれば、広域的な道路ネットワークの完成で主要都市間の所要時間が短縮し、津波浸水区域の回避や復興まちづくりと一体となったインターチェンジ配置などにより、沿線では様々な効果が発現されているという。その具体例としては――

1 沿線における工場立地の加速・地域産業を支援
 ・ 青森・岩手・宮城では、復興道路・復興支援道路沿線に新たに工場が245件立地
 ・ 福島県内では、復興支援道路沿線の相馬港エリアに新たに工場が13件立地

2 沿線の「道の駅」等により、復興まちづくりとしての拠点を支援
 ・ 沿線21箇所の「道の駅」を、道路上からの案内を充実し、休憩サービス等を提供
  震災以降、10箇所の「道の駅」がオープン(リニューアル5箇所含む)

3 全線開通後の交通状況
 ・ 交通量は全路線で増加、とくに大型車交通量の伸びが大きく被災地の物流を支援
  三陸沿岸道路では、とくに岩手県内の大型車交通量が1.3倍~1.7倍増加
 ・ 三陸沿岸道路は、冬期においても信頼性の高い機能を確保
  東北自動車道が吹雪による通行止め時に、大型車約2000台が三陸沿岸道路に転換
 ・ 沿線市街地において交通混雑が緩和
  宮城県気仙沼市内の幹線道路では、混雑区間が約44%から約2%まで減少
 ・ 実際に走行した車両のデータ(ETC2.0データ)を用いて、走行時間を分析
  仙台港北IC~八戸南IC間の走行時間は約4時間30分

 復興道路・復興支援道路の所要時間(都市間所要時間は各市役所間で算出)の変化を見ると、三陸沿岸道路の仙台~八戸間では約3時間短縮(約8時間35分⇒約5時間13分)、東北横断自動車道路の釜石~花巻間では約30分短縮(約1時間53分⇒約1時間21分)、東北中央自動車道の相馬~福島間では約25分短縮(約1時間15分⇒約52分)。

P2 2 災害に強い道路 - 【東日本大震災から11年】<br> 東北の未来を拓く<br>復興道路・復興支援道路
復興道路は災害強靭性の確保、防災機能の強化対策がなされ、津波浸水区域を95%回避することで災害時の通行も可能、また残り5%は高さのある橋梁で通過できる

 復興道路のルートは、強靭性の確保や防災機能の強化がなされている。津波浸水域を95%回避(残り5%は高さのある橋梁で通過)していて、災害時の通行も可能。また、災害時に復興道路が地域住民の避難場所にもなるように避難階段や緊急連絡路が設置された。
 さらに、インターチェンジを弾力的に配置、地域の産業・商業施設、防災拠点や医療施設へのアクセス性を強化、新たなまちづくりと暮らしを支える道路として、復興まちづくりを支援する。まさに、明日の東北を“拓く道”となることが期待されている。

国土交通省:災害に強く、新たなまちを支える復興道路・復興支援道路

〈2022. 03. 15. by Bosai Plus

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