全体像 明らかに ボランティアの宿泊スペースや、
豊山町が避難所を設けるエリアも
●首都圏(2箇所)、関西圏に次いで、初の中部圏「基幹的広域防災拠点」
南海トラフ地震など中部地方での大規模災害発生時に、全国から支援を受け入れて被災現場や地域の防災拠点に迅速かつ的確に供給するための施設として愛知県が豊山町に整備する「愛知県基幹的広域防災拠点」の全体像が明らかになった。国と都道府県が協力して災害対策活動を展開するために、司令機能を持ち、警察や消防、自衛隊などの支援部隊のベースキャンプ地となり、支援物資輸送ターミナル、災害医療の広域搬送センターなどを備え、後方支援活動を実施する拠点となる。
「基幹的広域防災拠点」は、1995年阪神・淡路大震災を契機に、国が大規模広域災害時の災害対策活動の核となる現地対策本部機能を確保するとして、2001年に首都圏・東京湾臨海部、関西圏・大阪湾臨海部に拠点整備を決定。首都圏に「有明の丘」(東京都江東区/2010年供用開始 *以下同様)と「東扇島」(神奈川県川崎市/2008年)の2箇所、関西圏に「堺泉北港堺2区」(大阪府堺市/2012年)」の1箇所を整備し、24時間体制で運用している。
「基幹的広域防災拠点」は首都圏と関西圏に整備されたものの、中部圏にはまだなく、愛知県は2025年度の完成をめざしていた。昨年(2021年)12月、愛知県は防災拠点の規模、コンセプト、レイアウト等をとりまとめ、公表している。
「整備計画地」は名古屋空港に隣接する名古屋空港北西部(豊山町青山地区)となる。「名古屋空港」は国の計画において「大規模な広域防災拠点」に位置づけられ、高速道路、空港からのダブルアクセスが可能で、被災リスクが低い。「拠点機能」としては――
・本部機能(被災地の情報収集・連絡調整、応急復旧活動の指揮)
・被災地上空の安全確保(被災地上空のヘリコプター統制)
・海外救援物資・人員の受入れ(救援物資の情報集約・救援部隊への配送地域調整)
・緊急輸送物資の中継地点(救援物資の集積・中継・配送)
・水・食料等の備蓄(本部機能、災害医療用、被災者用物資等の備蓄)
・活動要員のベースキャンプ(警察、消防、自衛隊等のベースキャンプ用地・防災ボランティアのベースキャンプ用地)
・医療体制の支援(重篤者の搬送手段の確保・トリアージ等資機材の備蓄)
同「目的」としては、南海トラフ地震、スーパー伊勢湾台風などの大規模災害時には全国から人員・物資を受け入れ、県内全域に供給し、災害応急活動を展開する必要があるとし、県内130箇所の防災活動拠点の後方支援にあたる。 また、国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に対応する。同「基本方針」として――
・「空港・高速道路」のダブルアクセス性を確保
・本部機能として「24時間危機管理体制」を確保。名古屋市の「消防学校の統合」を検討
・「支援要員」のベースキャンプ機能を確保
・「緊急支援物資」の備蓄と中継・分配機能を確保
・広域医療搬送拠点臨時医療施設(SCU)を設置
・中部圏の「基幹的な拠点」としても貢献
「施設規模」は、
・「南海トラフ応急対策活動計画」(2015年内閣府)に基づき“愛知県全域”を対象とした「後方支援機能」を確保
・活動要員:約6500(人/日)
・支援物資 :約3万1000パレット(荷役台/枚/日)
・車両:約3400(台/日) を稼働
「整備スケジュール」としては、国の「防災・減災、国土強靱化のための5箇年加速化対策」を活用し、2025年度の完了をめざして集中的な整備を図り、民間のノウハウや創意工夫を活用できるPFI手法を導入して施設整備を行うとしている。
〈2022. 01. 15. by Bosai Plus〉