復興道路・復興支援道路で移動時間短縮

「復興道路=三陸沿岸道路(三陸道)」と、
三陸沿岸と内陸を結ぶ4つの「復興支援道路」
 全長約570kmの道路網が完成

P4 1 復興道路・復興支援道路、全線開通 - 震災から10年「 復興道路」全線開通<br> 八戸~仙台間、359km
復興道路・復興支援道路、全線開通

 東日本大震災の「復興道路」として国(国土交通省)が整備してきた三陸沿岸道路(三陸道=三陸縦貫自動車道、三陸北縦貫道路、八戸・久慈自動車道)は昨年(2021年)12月18日、青森県八戸市〜仙台市間(約359km)の全線で開通した。
 これまで未開通だった岩手県普代村―久慈市間の約25kmが、同18日に供用開始しており、これで岩手、宮城、福島各県の太平洋沿岸と内陸を結ぶ4つの「復興支援道路」(宮古盛岡横断道路=宮古~盛岡、みやぎ県北高速幹線道路=栗原〜登米、東北横断自動車道釜石秋田線=釜石~花巻、東北中央自動車道=相馬~福島)を含めて格子状の高速交通ネットワークを形成、全長約570kmに及ぶ道路網が完成したことになる。約2兆2000億円にのぼる総事業費の大半は国費が投じられている。

 三陸沿岸道路は東日本大震災復興の「リーディングプロジェクト」ともなる事業で、津波浸水域を避け、インターチェンジ配置は復興まちづくりと連動する。震災10年を経て復興の軸足が産業再生へ転換する象徴としても画期的で、物流や観光の面で地域の活性化につながり、災害発生時の復旧にも資するインフラとなることが期待されている。

 三陸沿岸道路は一部を除きほぼ全線で無料通行ができ、沿岸部を通る場合の八戸〜仙台間の所要時間は、震災前には8時間35分かかっていたが、全線開通により約3時間20分短縮されて、5時間13分程度となる。沿岸地域内だけでなく、首都圏をはじめ日本各地との物流を円滑にする効果が見込まれることから、全国と、さらには海外へとつながる可能性も秘めている。

●復興道路・復興支援道路の整備による効果

 復興道路・復興支援道路の開通による効果は、まず「観光の振興」がある。移動時間の短縮で各地で観光客が増え、宮城県南三陸町では、大震災前と比較して1.3倍の観光客数、福島県相馬市の観光施設では近県から訪れる人が1.3倍となった施設もある。

 次に「物流の効率化」。輸送時間の短縮で企業立地や物流の効率化が図られている。岩手県釜石港では港を利用する企業が開通前と比べて2倍以上となり、福島県相馬港では背後圏への企業立地・増設が開通前と比べて6倍以上になった。

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復興道路・復興支援道路で移動時間が大幅に短縮される

 ほかに「医療支援」、「地域産業の振興支援」などに好影響が期待されている。青森県八戸市では当日生んだ新鮮な卵の首都圏への出荷量が約1.8倍となり、宮城県気仙沼市では復興道路の全線開通により朝採れ品の販売エリアの拡大や輸送時間の短縮から生まれた時間を作業時間に充てることで生産量の増加・売上増加が期待されている。

国土交通省東北地方整備局:復興道路・復興支援道路 全線開通

〈2022. 01. 01. by Bosai Plus

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