ひとたび災害が起こって避難するとして、その生活場所は応急的に「床」となる。一般的にそこは、固く、冷たく、不衛生でもある。要支援者はハンディキャップがあるので立ち上がりが困難な人が多い。トイレの回数を我慢するために水分摂取を減らして脱水症状が出る人や、体勢が変えられず褥瘡(じゅくそう=床ずれ)ができたり、エコノミークラス症候群を発症する人もいて、東日本大震災では、要支援者の「災害関連死」は、総死者数の2割を占めた。また、避難所では大人だけではなく乳児の命・健康も懸念される。
日本赤十字社徳島支部が去る9月8日、全国初となるオリジナル要支援者用段ボールベッドの配備を開始したと発表した。熊本地震や近年の豪雨災害で活動した赤十字の医療救護班が、避難所で被災者を診療するなかで、何とかして要支援者が安心できる生活環境を整えられないかと考え、2年の歳月をかけ開発した。
要支援者用は、市販品より大きく安定したサイズで、立ち上がりやすい高さが快適。座位を安定させる背もたれや、立ち上がりに必要な持ち手も完備されているのが特徴。乳児用は、衛生的な床面の高さを確保し、転落防止の囲いには、保護者が床で休みながら見守りができるように小窓を付けている。
日本赤十字社徳島支部では9月6日、徳島県内で最初の配備場所となる松茂町社会福祉協議会で贈呈式を行った。今後は約2年かけて、徳島県内の各地区・分区に合計210セットずつ配備する予定だ。
日本赤十字社徳島支部:全国初 オリジナル要支援者用段ボールベッドの配備
〈2021. 10. 04. by Bosai Plus〉