県・研究者、防災士など
地域協働で災害教訓の継承プロジェクト
第1弾として、
2021年に発災130年を迎える1891年濃尾地震をアーカイブ化
全国各地の「先進事例に」
岐阜県内の研究者や防災士らが「災害アーカイブぎふ」のホームページを11月28日に立ち上げた。地域の災害史を知って防災に役立ててもらおうという趣旨で進めるプロジェクトで、来年2021年に発生130年を迎える1891(明治24)年濃尾地震について、発災日10月28日の月命日に当たる11月28日に同ホームページを立ち上げ、同時に同28日・29日の2日間、岐阜市内で資料をパネル展示、インターネットでも公開した。
災害史資料は岐阜県が保管する濃尾地震資料のほか、1586(天正13)年天正地震、1858(安政5)年飛越地震、1944(昭和19)年東南海地震、1946(昭和21)年南海道地震、1959(昭和34)年伊勢湾台風、1969(昭和44)年美濃中部地震などに加えて、1968(昭和43)年飛騨川バス転落事故などで構成する。また、県が県民から募集した「災害体験談」も引用・活用する。
「災害アーカイブぎふ」では、「災害の記憶や記録はすぐに忘れ去られ、50年もすると人の記憶からは消えたり、語り継がれることなく消えてしまう。先人が体験した災害の記録は大変貴重で、後世に伝え、残すことが重要。貴重な災害資料を後世に残し、災害資料を防災・減災教育に活かしていただきたい」としている。同ホームページによると、「災害アーカイブぎふ」プロジェクトのメンバーは、小山真紀(岐阜大学)、柴山明寛(東北大学)、千葉久美子(伝実行委員)、平岡 守(かわべ防災の会)、荒川 宏(NPO法人ドゥチュウブ)、伊藤三枝子(清流の国ぎふ女性防災士会)、平岡祐子(ノートイレット・ノーライフ)、 中村貫志(岐阜大学)の各氏。
小山真紀・岐阜大学流域圏科学研究センター准教授は、新型コロナ感染症拡大の渦中、先駆的に「感染症流行下における水害発生時の防災・災害対策を考えるためのガイド」をとりまとめ、実践的な避難所運営指針を示した研究者として知られ、本紙5月15日号(No. 234)でも取り上げた。また、柴山明寛・東北大学准教授は東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」の開設・展開を主導した実績があり、伊藤三枝子さんは清流の国ぎふ女性防災士会会長として防災リーダー養成や被災地支援活動などで活躍している。
「災害アーカイブぎふ」はスタートしたばかりだが、県・研究者、そして防災士など市民活動家の連携による災害教訓の継承プロジェクトとして、全国各地の「先進事例」となる可能性もある。今後の展開に注目したい。
〈2020. 12. 05. by Bosai Plus〉
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