「被災農機」の再生
被災農家支援+ビジネス=“Win-Win”
性能・耐久性で海外で人気の日本製農機具
――修理して海外で甦らせる被災農家支援ビジネス
近年、異常気象に伴う大規模な災害が多発し、農林水産関係の被害額は増加傾向となっている(左図参照)。この一側面として、農業機械にも被害が及ぶことが多くなってきた。
農業の機械化および施設化、農作業安全に関する情報の提供や普及啓発を行う一般社団法人日本農業機械化協会は、一度泥水に浸かる被害のあった機械(トラクター、田植機ではステップ以上、コンバインではシャーシフレーム以上、乾燥機では下部スクリュー以上が浸かった機械)は、JA農機センター、農機販売整備業者などが点検する前には絶対にスイッチを入れないように呼びかけている。
とくに、バッテリーや電気配線の一部、電子制御装置や配線の一部、モーター部が水に浸かったことが懸念される場合は、電装品、電気配線がショートしやすくなっていて漏電の危険があり、最悪の場合には火災につながることがあると注意を促している。
いっぽう、水害にあった農機具を処分しようとするとき、その方法は大きく分けて「売却、買取りに出す」、「下取りに出す」、「廃棄」の3つの選択肢がある。日本の農機具は総じて性能・耐久性などで評価が高く、海外、とくに東南アジアなどで人気があることから、古い型式の農機具や部品だけでも販売できるルートが確立されている。このため、世界的な需要によって高価買取りも可能となっていることから、農機具の水害被害程度を専門業者に査定してもらうことは欠かせない。
国内最大級の中古農機具貿易商社である株式会社MEトレーディング(鳥取市)は、「2020年7月豪雨」で故障した農機を再び使用できる状態までメンテナンスし、海外で蘇らせるプロジェクトを8月からスタートしている。同社はこのほど、その対象を「西日本豪雨」や「2020(令和2)年台風第10号」などの水害全般に拡大すると発表した。
農機買取りは、同社の親会社でネット型リユースを主事業とするマーケットエンタープライズが対応し、グループの連携により、不稼働農機具の買取から整備・修理、その先の輸出までをワンストップで行う。買取対象となる農機は、トラクター、コンバイン、田植機などで、その他の農機は、買取りの申し込み時に確認する。
同社は「80カ国を超える取引実績をもとに各国の相場を把握し、可能な限り高い買値での買取を実施することで、被災農家の早期復旧や営農の一助となるよう努める」としている。
>>MEトレーディング:豪雨災害で故障の農機を修理し、海外で蘇らせるプロジェクト
〈2020. 10. 05. by Bosai Plus〉