アットホーム調査 消費者 VS. 物件紹介
双方の防災意識
”借家住まい”探しでの防災リスクを知る
物件情報――内見時のチェックポイントに
●”借家住まい”の災害リスク 物件情報に求める
以前本紙は、「”借家住まい”の防災環境」をテーマに特別企画を打った。
その趣旨は、3大都市圏のいずれにおいても大規模水害、大規模地震の発生が懸念され、都市部の膨大な「借家居住者」の災害脆弱性が浮上している。そのいっぽうで、全国的にも浸水想定区域に住んでいる人は、2015年時点で約3540万人にのぼり、20年前の1995年と比べて4.4%増え、また世帯数では約1530万世帯で、24.9%と大幅に増えたいるという(秦(はだ)康範・山梨大学の准教授による調査研究)。
このような環境下において地域の防災力を高めるためには「借家居住者」も取り込んだ災害対策が欠かせないが、”借家住まい”探しでの防災リスクは当面、物件情報によるしかない――ということから、国土交通省が整備を進める「不動産総合データベース」をめぐる動向を紹介した。
その後「不動産総合データベース」の整備にはいろいろな課題が浮上していてなかなか社会実装にまでは至っていないようだが、大雨・台風による大規模浸水被害は近年毎年のように発生し、住まいの災害リスクへの関心は高まっている。
●4人に3人が「次の住まいを探す際に防災を意識する」
不動産情報サービスのアットホーム株式会社(東京都大田区)が先ごろ、賃貸物件に住んでいる全国の20~50代の男女416名を対象に、災害が多かった2018~2019年に「防災意識がどう変わったか」、「どんな災害対策を行っているか」、「住まい探しに影響はあるか」など、防災に関するインターネットによるアンケート調査を実施し、公表している。
同調査は同時に、賃貸物件を取り扱う全国のアットホーム加盟店を対象としても行われ、「入居希望者に災害リスクを説明をしているか」、「ハザードマップを渡しているか」などを調査、消費者と不動産会社双方の防災に対する意識について調べているところが興味深い。
同調査によると、地震や台風など災害が多かった2018~2019年にかけて「防災意識が高まった」との回答は70.0%。男女別で見ると、女性が13.9ポイント多い。また、防災意識が高まったと回答した人にどんな災害対策を行ったのかでは、「水や食料品の備蓄」と「ハザードマップなど災害に関する情報を調べた」がそれぞれ半数を超えている。
「次の住まいを探す際に防災を意識する人は75.5%」。防災を意識して探す際にこだわりたい条件では、「築年数10年以内」「鉄筋系」「3階以上」に回答が集まった。設備では「雨戸・シャッター」「自動火災報知設備」などの回答も多く、アットホームでは内見時のチェックポイントになりそうとしている。
〈2020. 06. 11. by Bosai Plus〉