浸水エリアの区民を幅広く受け入れる
“浸水しない避難所の使命”

 青森大学東京キャンパス(東京都江戸川区)は、去る3月16日、近隣の12の自治会、7つの避難所を運営する学校(小、中、高、大)と連携し、また、江戸川区、日本赤十字の協力を得て「高規格避難所」開所訓練を行った。

P6 4 青森大学東京キャンパス外観(同HPより) - 青森大学東京キャンパスが<br>「高規格避難所」開所訓練
青森大学東京キャンパス(東京都江戸川区)外観

 「高規格避難所」とは、人口・資産等が高密度に集積した低平地等を抱える大河川で、まちづくりと一体となって幅の広い緩傾斜の堤防を整備する「高規格堤防」区域内の“浸水しない避難所”を言う。青森大学東京キャンパスは荒川に隣接する高規格避難所だ。そこで同大では、この「高規格避難所」を“避難所の高規格化”=「災害関連死を抑制し、女性にやさしい避難所」ととらえ、「床に雑魚寝する被災者」「断水で使えないトイレ」といった従来の「汚い避難所、避難所弱者に冷たい避難所」のイメージを一新し、避難所の環境の大幅な改善=高規格化を図った。

 青森大学東京キャンパスが位置する東京・江戸川区は、荒川、江戸川など大河川の河口部の海抜ゼロメートル以下地区にあり、区のハザードマップは、①区の面積の9割が水没し、②浸水高は2〜4m、③水没期間2週間。この狭いエリアに70万人もの人口を擁する日本有数の水災リスクが高い地域である。
 東京キャンパスのある清新町・臨海町は江戸川区で唯一水没しないエリアで、周辺地域の避難所の大半は水没が想定されるため、東京キャンパスの避難所に避難区民の大量流入が予想される。

 同訓練はこの難題に対応するため、①HUGシミュレーションゲームで避難所運営の難しさを体感、②ゲーム空間を現実に装備を整えた体育館で追体験するというもの。また、台湾花蓮市の地震で知られるボランティア団体「台湾慈済基金」日本支部とも協業し、綿密なプログラムの下で実施された。

P6 5 青森大学東京キャンパス「高規格避難所」開所訓練で(同大プレスリリースより) - 青森大学東京キャンパスが<br>「高規格避難所」開所訓練
「高規格避難所」開所訓練で

 訓練参加者は予想を超えて避難所運営関係者を中心に110名となり、同キャンパスが唱える「自治会活性化戦略」の3本柱(ヒト:防災士1000名育成、モノ:高規格避難所の提供、カネ:コミュニティ水災保険の提供)のひとつの成功例となったようだ。

青森大学東京キャンパス:地域最大課題の解決へ「高規格避難所」開所訓練を実施

〈2025. 04. 01. by Bosai Plus

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