“ノーベル賞もの”「ペロブスカイト太陽電池」、ビル屋上風力発電 +豪雪地帯の雪かき対策に「除雪ドローン」
国の第7次エネルギー基本計画をめぐる素案が、年内に示される見通しだ。脱炭素社会の実現に向けて、省エネと再生可能エネルギーの拡大という2040年の電源構成の方針が議論されている。本紙は、災害多発国のわが国にあって東京電力福島第一原発の大惨事を忘れたかのような原発回帰の傾向に安全神話の復活を恐れ、また地球温暖化に抗う姿勢を再生可能エネルギーの拡大で示すエネルギー政策の策定を期待したい。
現状、エネルギー基本計画を担う経済産業省の審議会は、再生可能エネルギーについて、新技術の登場とその可能性を高く評価しつつある。第6次の計画で2030年度に「36%から38%」としている再生可能エネルギーの割合を2040年度の時点ではさらに引き上げ、初めて化石燃料による火力を上回る最大の電源とするシナリオを示す方向で検討しているという。その新技術の筆頭にあげられているのが、「ペロブスカイト太陽電池」と「洋上風力発電の普及」だ。
■ ペロブスカイト太陽電池~ノーベル賞もの新技術 !
これまでの太陽電池は、発電効率が天候に左右され、曇りや雨の日だと発電量が大幅に落ちるという弱点があった。しかし、ペロブスカイト太陽電池は曇りや雨の日、さらに室内の弱い光でも発電でき、かつ薄くて軽いため様々な場所に設置可能で、現在、世界中の企業が実用化に向けた開発にしのぎを削っている。
この原理の開発者は日本の研究者、宮坂力・桐蔭横浜大学特任教授で、ノーベル賞候補とも目されている。ペロブスカイトは自然界にある鉱石で、その結晶構造に特徴があり、人工的に作ったものが超電導やLEDの材料などに使われている。
ペロブスカイト太陽電池の利用範囲は広く、自動車メーカーでは車体に貼り付けてソーラーバッテリーに使うアイデアや、家電メーカーでは室内のIoT機器の電源、建築分野では建物全体に貼り付けて発電するアイデアが提案されるなど、様々な業界でペロブスカイト太陽電池を使う構想が練られている。
YKK AP:ペロブスカイト太陽電池で建材一体型太陽光発電の実証実験
■ 洋上風力発電、屋上設置・サボニウス式風車…
風力発電は、陸上は設置に適した場所が限られるほか、海上も現在、主流となる風車の土台を海底に固定する「着床式」と呼ばれるタイプに適した遠浅の海域は国内では限られるが、「浮体式」洋上風力は海に浮かべるタイプで、遠浅ではない海域でも設置可能。陸地から離れた海域でも設置でき、風車を大型化して発電量を大きくすることもできる。
大成建設株式会社、株式会社チャレナジー、三井不動産株式会社の3社は、新たな創エネルギー技術として「サボニウス式風車」の技術開発中だ。超高層ビル屋上に設置するもので、限られたスペースに設置可能、全方位の風から発電可能で、低騒音・低振動などの特徴を持つ。その実証機を2025年4月から、横浜三井ビルディング屋上に設置して、国内初、市街地に適したサボニウス式風車による風力発電の実証実験に着手するという。
チャレナジー:超高層ビル屋上でサボニウス式風車による風力発電の実証実験着手
■ 豪雪地帯の切実なニーズに応える「 除雪ドローン®Fシリーズ」
再生可能エネルギーの話題とは異なるが、豪雪地域の切実な除雪ニーズに基づいて設計され、厳しい冬の条件下でも効率的かつ無人での除雪作業が可能、商業施設や住宅、公共施設での除雪作業に革命をもたらそうというのがエバーブルーテクノロジーズ株式会社の「除雪ドローン®Fシリーズ」だ。
UGV(無人地上車両)や超小型建設機械として建設現場や農地での多様な作業にも対応する。
エバーブルーテクノロジーズ:新モデル「除雪ドローン®Fシリーズ」を発表
〈2024. 12. 13. by Bosai Plus〉