「必ず避難できない人がいる、どのように支援していけばいいか」
《本紙特約リポーター:片岡 幸壱》
「防災の多様性とは? ~逃げにくい人々~」(主催=NPO法人サニーサイド、NPO法人月と風と、尼崎市、協力=ミーツ・ザ・福祉実行委員会)が去る11月15日に中央北生涯学習プラザ大ホール、11月16日にベイコム総合体育館研修室(兵庫県尼崎市)と、両日とも同じ内容で開催され一般・学生など約200人近くが参加した。
阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えるにあたり、震災の経験と教訓を世代や地域を超えて、広く継承・共有していくとともに、災害への備えの大切さを伝え、考える事が目的。
主催の「NPO法人サニーサイド」は、障がいがあるとされている人も、障がいがないとされている人も、地域で共に生きていくためのコミュニティセンターとして1995年に設立された。誰もがその人らしさを大切にした暮らしを実現できるように、ヘルパー派遣・就労継続支援・グループホーム・インクルーシブ学童・シェアスペース事業を行っている。
共同主催の「NPO法人月と風と」は、障がいある人ない人のつながりづくりに主眼をおく。ヘルパー派遣業と並行して、銭湯や人の家のお風呂で障がいのある人とつながるプロジェクト「劇場型銭湯」、尼崎市委託のインクルージョンイベント「ミーツ・ザ・福祉」、コープこうべと協働で障がいのある人も働く寄付でつながる古着屋「チャリティショップふくる」などを展開している。
■講演、交流検討会―― 「具体的に自分たちは、どう備えたらいいか」
講演は青田由幸氏(特定非営利活動法人さぽーとセンターぴあ代表理事)が登壇した。同氏は2011年3月11日の東日本大震災時、福島第一原発から25kmの南相馬市にある福祉施設「ぴーなっつ」にいた。
原発事故発生後も現地に残り、取り残された障がい者・高齢者を支援し続けてきた体験を話し、「必ず避難できない人がいる、一人で自宅に残った方もいるなかで、どのように支援していけばいいかなど想定していないと大変、いろいろ考えることが多かった」と述べた。
交流検討会は各グループで「講演を聞いて気がついたこと・発見したこと」、「具体的に自分たちは、どう備えたらいいか」について話し合い「リーダーシップの重要性、避難所の確認、普段からコミュニケーションを取っていく」などの意見が出た。
■地域の取り組みの重要性―― 関係性の構築を
災害では逃げたくても逃げられない人が出てくるなか、どのように関わればいいか分からなくなる。平時から市民・支援者・当事者が地域全体でお互いを知っておく関係性を構築することが重要だと講演を通して実感した。いつ起きるか分からない災害において、地域のつながりの取組みを続けることで様々な支援方法を考える機会の場となるのではないか。
※掲載写真については主催者の掲載承諾を得ています(片岡幸壱、編集部)。
▽本紙特約リポーター:片岡 幸壱
神戸市在住。中学2年のとき阪神・淡路大震災に遭遇、自宅は全壊したが家族は全員無事避難。学生時代より取り組んでいる防災を仕事と両立しながら、ライフワークとして、ユニバーサルデザイン(UD)などのイベント・ボランティア参加を続けている。聴覚障がいを持つ防災士としても活躍中。
▼本紙関連記事:
・「バリア探しゲーム Vol.1」体験を通して非常時に活かす
▼参考リンク:
・NPO法人サニーサイド