重点的な調査研究・評価が必要な火山、 8火山を選定
火山本部を構成する「政策委員会」と「火山調査委員会」
本格始動へ当面の課題を設定
本年4月1日に文部科学省に新設された火山調査研究推進本部(火山本部)は、国として火山に関する観測、測量、調査および研究を一元的に推進する司令塔だ。火山本部は、火山についての総合的・基本的施策の策定を行う「政策委員会」(委員長:藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所所長)と、観測・分析・評価などを行う「火山調査委員会」(委員長・清水洋・防災科学技術研究所火山研究推進センター長)で構成されている。
その火山調査委員会が9月25日、国内111活火山の噴火リスクがどれぐらい差し迫っているかの評価を公表し、重点的な調査研究・評価が必要な火山として8火山を選定した。
8火山は、過去1年に噴火活動が見られる硫黄島(東京都)、桜島、薩摩硫黄島、諏訪之瀬島(いずれも鹿児島県)と、噴火活動はないものの地震や地殻変動などがみられることから、想定される火山活動の評価が必要な火山として、焼岳(長野・岐阜県)、岩手山(岩手県)、口永良部島(鹿児島県)を、さらに、現在は静穏だと評価した八幡平(秋田・岩手県)も、現状を把握するために必要な調査研究が不十分だとして選ばれている。
焼岳や岩手山はこの1年で火山性の地震活動がやや活発化しているという。八幡平は気象庁が24時間体制で監視する常時観測火山ではないが、膨張性の地殻変動があり、活動を評価するための知見が不十分であるためという。これらの火山についてはさらに重点的な評価を進め、来年以降、どういった観測が必要かを決めることになる。
いっぽう、火山本部・政策委員会は去る8月9日、火山に関する総合基本施策の立案と調査観測計画の策定に向けた要点をとりまとめ公表している。それによると、観測や調査・研究は、活火山対策の強化、とくに噴火被害の軽減に資することを目的とするとし、具体的には、火山活動の状態や火山ハザード(降灰、噴石、火砕流、溶岩流、火山性津波、漂流軽石など)の適切な把握、噴火の時期、場所、規模、様式、推移の予測、そしてこれらに基づく火山ハザードの予測などが主な目標とした。
さらに、これら観測・調査・研究・予測に基づく警戒避難対策や噴火発生後の避難・被災対応、復興に向けての情報発信もめざす。
また、調査観測や火山活動および火山ハザードの評価手法、専門人材の育成および確保などについては、当面10年間に推進するものとして方針が示されている。
〈2024. 10. 08. by Bosai Plus〉