「知っているだけの備え」から脱却し、
「明日から実践できる備え」に
宮城県南三陸町観光協会が2015年から提供している「防災キャンプそなえ」は、東日本大震災で実際に避難所となった施設周辺をフィールドに、避難所運営や被災者の体験をもとにした実践的な宿泊型防災プログラムだ。近年、自然災害が全国各地で頻発しており、自然災害への備えがより重要になっているため、より多くの防災関心者に同プログラムを知り、活用してもらいたいとの趣旨から紹介リーフレットを刷新・公開した。リーフレットはWEBサイトから無料でダウンロードできるほか、郵送でも受け取れる。
●「防災キャンプ そなえ」とは
「防災キャンプそなえ」は、2011年東日本大震災を体験した南三陸町民の証言や避難所の状況など、この地域ならではの被災体験をベースに構成しており、自然災害への備え方を現実的な視点から提案したものとなっている。過去の参加者からは「避難所でのリーダーシップの重要性」「非常時には行政の担当者は来ない」「備蓄品は役に立たない」といった、新たな視点での備え方とともに、有効性が評価されている。
●「防災キャンプ そなえ」の内容
「自然災害発生時の1日目」を体験するプログラムで、旅行や研修で南三陸を来訪中に発災(訓練)。参加者は突然の災害発生の訓練状況を体験し、津波襲来を想定し、高台の施設に避難する。避難所に到着すると、電気や水道といった生活に必要なライフラインが実際に停止しており、日没が迫るなかで避難者の受入れや避難所の運営、宿泊の準備や食事の確保といった様々なミッションやトラブルに対応しなければならない。
幹事や責任者以外にはプログラム内容を伝えられておらず、情報や備蓄品が限られる災害発生の1日目の実際の状況を再現――1日目の終わりは「あの日、あの晩の出来事」をテーマに、東日本大震災で町民が経験した出来事や思い、そして得た教訓などを各分野の住民が実際に話す。翌朝は「明日に備えるシミュレーションワーク」を実施。自分たちの地域や会社を想定し、自然災害にどんな「備え」をしていくかを考えるワークショップだ。
さまざまな予測不能な状況を体験することで、「知っているだけの備え」から脱却し、「明日から実践できる備え」に向けての意識が高まるという“コスパ”の高いキャンプだ。
▼プログラム料金・留意事項
最少催行人数:20名 ※最大60名まで
料金:1名 2万2000円(税込)
・プログラム料金に含まれるもの
研修費・ガイド講師料・施設使用料・宿泊代・食事代(夜・朝)
・プログラム料金に含まれないもの
保険料・集合場所までの交通費・貸切バス利用にかかる費用・その他個人的諸経費
期間:通年(希望する参加日程で申込みのこと)
*プログラム時間は1日目13時00分~2日目9時
*希望の2カ月前までに予約のこと
*別途、傷害保険に加入可能(任意、1名 207円)
*可能な限り震災当時の状況を再現。その再現具合は参加団体と相談の上、決定
*あらかじめバスなどの交通手段を用意のうえ参加のこと
〈2024. 09. 16. by Bosai Plus〉