木造住宅の安全チェック 自分で判定、地震後の自宅の安全性
住み続けてよいか、専門家に相談したほうがよいか、自身で簡単に判定
地震で大きな揺れのあった地域の住宅は、損傷により構造耐力が低下している可能性がある。行政が被災地で調査・実施する「被災建築物応急危険度判定」は、地震で被災した建築物について、その後の余震などによる倒壊の危険性や、外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定し、人命にかかわる二次的被害の防止が目的だ。
判定結果は緑(調査済み)・黄(要注意)・赤(危険)の三段階で区分し、建築物の出入り口などの見えやすい場所に設置することで、その建築物の利用者だけでなく付近を通行する歩行者などに対しても安全性の識別ができるようにしている。ただし、この調査は地震発生後の二次災害防止のために行うもので、罹災証明のための調査(被災度区分判定)とは異なることに注意が必要だ。
国土交通省では、木造戸建て住宅について、居住者が自身で住宅の状況をチェックのうえ、そのまま住み続けてよいか、専門家に相談したほうがよいかを判定する方法を整理し、このほどパンフレットを作成した。同省では、令和6年能登半島地震を含め、地震で大きな揺れのあった地域の住人に活用してもらえるよう、今後、広く周知していくとしている。
パンフレット「木造住宅の地震後の安全チェック~この家、住み続けていいのかな?」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001756178.pdf
パンフレットのポイントは――
▼地震で大きな揺れのあった地域では、そのまま住み続けることができるかどうかを、一般人が判定することは困難なことから、木造住宅の傾きやひび割れなど4つのチェック項目を、目視などにより確認する。
▼これにより、そのまま住み続けて大丈夫か、住まいの市町村や専門家に相談したほうがよいかを判定する。
このパンフレットで判定できる住まいは、下記4つの要件のすべてに当てはまる木造住宅(店舗併用住宅を含む。軸組構法または枠組壁工法(ツーバイフォー)の住宅)。要件に当てはまらない場合で不安がある場合には、市町村や専門家に相談のこと。
□ 震度5強以上の揺れを受けた
□ 大きな被害(家全体が傾く、柱が折れる、外壁が外れるなど)はない
□ 平屋、2階建て、3階建てのいずれか
□ 1981年(昭和56年)6月以降に建てた
パンフレットによれば、敷地や住まいの状況の確認、基礎の状況確認、内壁と外壁で最も損傷している部分の状況を確認、住まいの地域の震度確認などをして「総合判定」(住み続けて大丈夫/専門家に相談)が出る。地域の専門家(被災度区分判定・復旧技術事務所名簿)などへのリンクも紹介している。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●日本建築防災協会の「耐震支援ポータルサイト」
住まいの支援制度、リフォーム減税制度、リフォームローン紹介も
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一般財団法人日本建築防災協会は、耐震改修に必要な資金の貸付けに係る債務の保証を行う団体だが、同協会の「耐震支援ポータルサイト」でも「木造住宅の地震後の安全チェック」パンフレットの紹介をしている。
また、協会ホームページでは、参考情報(リンク集)として、「お住まいの地域の専門家を知りたいとき」「お住まいの地域の震度を知りたいとき」「液状化について詳しく知りたいとき」「被災度区分判定について詳しく知りたいとき」などへのリンクを紹介するほか、地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度や、リフォームの減税制度、リフォームローンを紹介するサイトも設置しているので参考にしたい。
日本建築防災協会「耐震支援ポータルサイト」
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/srportal/srknow/anzencheck/
日本建築防災協会の「お得な制度を探そう」
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/srportal/srsys/
〈2024. 08. 13. by Bosai Plus〉