実大免震試験機「E-Isolation」で防災・減災の基盤づくり
日本建築学会北陸支部が能登半島地震の建物被害について、石川県輪島市と珠洲市、穴水町の合わせて7000棟を対象に調査、これまでに分析を終えた5705棟について結果を公表し、新耐震基準が設けられた1981年から基準が厳しくなる2000年よりも前に建てられた木造住宅などの3割が全壊や半壊、81年以前の旧耐震基準の住宅は、全壊や半壊が5割余りにのぼったとしている。
本紙は本年3月4日付け記事「「能登の奇跡」―“免震”でフル稼働、恵寿総合病院」で「免震ホスピタル~恵寿病院」を取り上げた。震度6強の揺れを観測した石川県七尾市で地震の影響を感じさせずに地域医療をフル稼働させたのが、社会医療法人財団董仙会・恵寿(けいじゅ)総合病院で、本館は「免震構造」で、被害を免れたと報じた。まさに「免震構造」の効果だと言えた。
WEB防災情報新聞:「能登の奇跡」―“免震”でフル稼働、恵寿総合病院
免震構造は、地震時における建築物の被害の大幅な軽減や機能継続の確保に有効であり、とくに庁舎、病院等の建築物において採用されてきている。しかし近年、免震装置や制振装置メーカーの出荷試験のでデータ改ざんが顕在化し大きな問題になった。
そこでこの問題の根本的な解決のために、一般財団法人免震研究推進機構(Jsil:Japan Seismic Isolation Laboratory)は、国の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)により兵庫県三木市に完成させた世界トップクラスの精度を誇る実大免震試験機(E-Isolation)を用いて実大・動的試験を行い、免震装置の性能を評価する「免震動的性能認証制度」を7月1日から開始する。
免震構造・制振構造の世界トップレベルの研究教育基盤づくりとなるもので、地震国・日本にとって、防災・減災に向けた大きな一歩となるものと期待されている。
〈2024. 07. 11. by Bosai Plus〉