P5 1 「自治体防災業務における電力データ利活用マニュアル(自治体向け)」より 640x350 - スマートメーターで被災者・<br>被災地支援の可能性

「電力データを居住証明」など、
経済産業省が電力使用状況のデータを
被災者支援で活用する実証実験 開始

 報道によると、経済産業省は、能登半島地震で被災した自治体と連携し、電力使用状況のデータを被災者の居住証明として活用する実証実験を行うという。
 「罹災証明書の発行に必要な書類の代わりとして扱うほか、在宅避難する高齢者の見守りといった被災者支援に役立てる方向で検討、今月、参加する事業者の募集を開始し、石川県内などで導入したい考え。
 実証は年明けごろまで行い、来年2月には検証結果をまとめる方針。効果が確認されれば、自治体向けのマニュアルに盛り込み、今後の災害対策に役立てる」。

時事通信:電力データ、居住証明に活用 能登被災地で7月にも実証―経産省

 電力データとは、スマートメーターから得られるデータ。スマートメーターは、30分ごとの電力使用量を計測することができ、また、遠隔でその情報を取得可能な装置だ。
 スマートメーターのデータは、一般送配電事業者が保有し設備情報及び電力量情報から構成される。スマートメーターの数は世帯数と相関があることや、電力使用量の変化に着目すれば在・不在情報の推定が行える場合がある。そのため、個人情報に配慮するために電力データを活用する際の条件が法令で厳密に定められており、災害時には法令を厳守して電力データを分析・加工することで、有効な情報を推定・可視化できる可能性がある。

P5 2 電力データ(電力使用量など)から分かること - スマートメーターで被災者・<br>被災地支援の可能性
電力データ(電力使用量など)から分かること〜電力データから推測した在・不在情報のイメージ
P5 3 ユースケースイメージ~救助支援や被災者特定支援 - スマートメーターで被災者・<br>被災地支援の可能性
「ユースケースイメージ〜救助支援や被災者特定支援」(経済産業省資源エネルギー庁 電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室)

 わが国でのスマートメーターの導入計画によると、各電力会社等において2020年代早期を目標に、2024年度末までに全国の全世帯・全事業所等に導入される予定だ。
 スマートメーターで得られる電力データから推定・可視化できる情報例としては、まちや建物の様子、人びとの生活や電気の使い方、その変化をとらえることで有用な情報を推定・可視化できる可能性がある。

 例えば、電力使用量の可視化はもとより、タイムリーな世帯数の統計算出、人の住んでいない空き家を推定する空き家情報、世帯の冷暖房使用状況の推定、そして、防災分野では発災時の活用として、例えば30分ごとの外出/帰宅を推定する活動世帯情報により、発災前後の在不在情報を活用することで将来的に要支援者や被災者の在宅状況の可視化できる可能性がある。
 さらには、スマートメーターの応答情報から通電または停電と推量される情報、電力会社の管轄エリアの市区町村ごとの停電軒数や復旧見込みを時系列で表示した情報など、被災地支援活用の可能性は幅広い。

 2020年6月改正の電気事業法では、自治体などが災害時に住民の同意なしで電力会社にデータの提供を求められるとの規定を新設しているという。

経済産業省:「自治体防災業務における電力データ利活用マニュアル(自治体向け)」

〈2024. 06. 15. by Bosai Plus

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