「小型無人機に係る環境整備官民協議会」が、
災害時ドローン活用へ最終調整
直近の報道に政府(首相官邸:小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会)が、災害時のドローン活用を拡大する方向で最終調整に入ったというものがあった。「医薬品や食料品など支援物資の輸送であれば、飛行禁止空域でも許可を得ずに飛行できる仕組みの規制緩和を検討しており、規制改革推進会議が5月31日にもまとめる答申案に明記する見通し。6月に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込み、年内にも実施」という。
読売新聞:災害時に医薬品や食料品のドローン輸送拡大…禁止空域でも飛行可能に
本年1月1日発災の能登半島地震の被害様相が深刻化し、被災者支援の遅れが指摘されるなか、岸田文雄首相は1月30日に行われた衆院本会議の施政方針演説で、能登半島地震の災害対応を巡る新たな取組みの一つとして医薬品のドローン配送などを挙げ、「過去の災害対応に比べて、新しい取組みがいくつも生まれており、強く印象づけられた」と述べた。
ドローンの活用例として、孤立集落での自衛隊の救助活動と連携した医薬品配送や立ち入り困難な現場上空からの被災状況調査などをあげ、新たな取組みとしては、道路が寸断される中で自衛隊と民間が連携した物流システム、スタートアップ企業による生活用水を循環濾過して再利用する技術を使った温水シャワーを紹介した。
当時、国による被災地・被災者支援の遅れが指摘されているなかでの比較的地味な「新たな取組み」への言及は、首相が掲げる政策課題「デジタル田園都市国家構想(DX)」と「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」の場違いなPRではないかと受けとめる向きもあったが、ドローンは被害状況を把握するための空撮などで大いに活用されたのは事実だ。
いっぽう、災害時にはドローンが捜索や救助にあたるヘリコプターなどの妨げにならないよう航空法に基づき飛行禁止空域が追加される。現状では、禁止空域で飛行させるには国土交通相の許可が必要で、都道府県警や自治体からの依頼があった場合には許可は不要となる。能登半島地震では、道路が寸断され、孤立集落への対応が課題となったが、支援物資の輸送での活用は本格化しなかった。
能登半島地震での被災地からの要望を踏まえたことはもとより、南海トラフ巨大地震が起これば、広域で大規模なドローン活用のニーズが高まることは明らかだ。規制改革推進会議の答申案では、医薬品や食料品などを輸送する場合には、禁止空域でも許可を得ずに飛行できることを明確化するよう国土交通省に求めるなど、被災者に迅速に物資を届けるため、ドローンの活用を促す狙いがある。
〈2024. 06. 04. by Bosai Plus〉