住宅地盤は大切だ! 身近な災害リスクを“見える化”
自分の住む住宅の地盤リスク、
住所・エリアの災害リスクをチェックしよう!
●住宅の耐震化は重要だが、その住宅が建つ足元、「地盤」にリスクはないか
地震による液状化などの宅地被害は、同じエリア・場所で繰り返し発生する傾向がある。2024年能登半島地震で液状化した宅地の一部は、1964年新潟地震で液状化した範囲と重なっている。地盤にその要因があるのだ。
いったん災害が起こって都道府県が実施する「被災宅地危険度判定制度」は地盤災害後の判定であって、この判定法が事前診断用に整備されたガイドラインはほとんど見当たらなかった。しかし、宅地被害と対策に詳しいWASC(ワスク)基礎地盤研究所(大阪府茨木市)が開発した「宅地の災害耐力カルテ」が、建築研究振興協会の評価委員会による「技術評価書」を2023年12月に取得した。
同協会が宅地の判定方法に技術評価書を与えた初めてのケースで、液状化、土砂災害、豪雨浸水、擁壁と石垣の倒壊、ブロック塀の倒壊という宅地の抱える5つの自然災害リスクの判定に利用するものだ。カルテを購入した地盤の専門家やカルテの講習会を受講した人などが、判定者になることを想定している。
住宅地盤の品質向上を目的とした全国的業界団体・NPO住宅地盤品質協会(住品協)は、地盤品質に関する調査研究や地盤技術者の育成・技術者認定資格試験を実施しているが、一般向けに「安全な宅地選びのポイント」を公開している。
それによると、宅地の品質を見る際に最も参考になるのは”地形“だとする。低地なのか、台地なのかを知ることは、おおよその地盤構造や硬軟までがわかり、さらに軟弱地盤か、埋立地か、盛土地盤か、山地・丘陵地は造成かなどに注意とある。また、崖・急斜面、谷底低地は要注意となる。
こうした情報の詳細具体例は、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~」の「重ねるハザードマップ」で調べられる。例えば同サイトの「地形分類」から自分が住むエリアの地形の解説などがわかるし、「避難ピクトグラム」をクリックするとそれぞれの地域の避難所まで示される。
国土交通省:ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~
●自分の住むまちの災害リスクを見える化、自主防災の備えに
東京都では1975年からおおむね5年ごとに「地震に関する地域危険度測定調査」結果を公表している。第9回目となる同調査結果は2022年10月に公表されていて、この調査では都内の市街化区域の○○町○丁目について、「建物倒壊」、「火災」(延焼)、「総合」(災害時活動困難度)の3カテゴリで危険度を判定、5段階の相対評価でまとめている。
東京都:地震に関する地域危険度測定調査結果(第9回/2022年10月公表)
都の同調査は地震による総合的な災害危険度を指標化したものだが、地盤ネット株式会社(東京都中央区)では、通常の地図に災害リスク情報を重ね合わせて見られる「地盤安心マップⓇPRO」を有償で不動産開発会社などへ提供している。また、地盤ネットのグループ会社である地盤ネット総研株式会社が2016年11月28日の「いい地盤の日(日本記念日協会認定)」に同社が保有するビッグデータをもとに算出した「地盤安心スコア」集計による「東京都区市町村の『いい地盤』ランキング」を公表。また、本年(2024年)1月には、「47都道府県の『いい地盤』ランキング」を発表した。
都道府県ランキング結果の上位3位を見ると、1位の沖縄県は、那覇市をはじめ琉球石灰岩と呼ばれるサンゴ礁が固まった岩の台地と丘陵地が広く分布。2位・群馬県は関東山地の火山からもたらされた平坦な台地が多い。3位・福島県は浜通りの古い時代の丘陵や台地、内陸部も阿武隈山地、奥羽山脈に囲まれた扇状地など川が運んできた砂礫の地盤からなり、良好な地盤だとのこと。
ちなみに地盤ネットでは、だれでも住まいの住所から土地の点数を調べて、自主防災に役立てられる「地盤カルテ」、「地盤安心マップ」も提供している。
〈2024. 05. 01. by Bosai Plus〉