人口減少を乗り越える
土地情報の明確化による防災・減災効果とは
国土交通省は先ごろ(3月13日)、「国土調査のあり方に関する検討小委員会 第4回」を開催し、土地の利用・ 管理の基盤となる地籍調査等について、報告書のとりまとめに向けた議論を行った。人口減少、少子高齢化に伴う土地利用ニーズの低下などにより、資産としての土地に対する国民の意識は、所有意識の希薄化といった変化が生じている。
いっぽう、災害の激甚化・頻発化により、土地を適正に利用・管理し、安全で持続可能な社会形成を図る重要性が増している。このため国土交通省では、2013年10月から、「土地の境界や所有者を明らかにする調査(地籍調査)」および「土地の災害履歴等を把握する調査(土地分類調査)」の加速化に向けた検討を行ってきた。
わが国では、土地に関する記録は登記所において管理されるが、登記所の地図や図面は正確ではない場合があるのが実態で、地籍調査の進捗が急がれている。
地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆(いっぴつ。登記上の土地の個数を表す単位。独立した1個の土地は一筆の土地。一筆ごとに地番が付される)ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査のことで、いわば「土地に関する戸籍」の意味合いとなる。この調査が防災・減災に重要な理由、また、土地情報の明確化を実現する方法としては――
○災害対応の基盤となる
土地の正確な位置や境界情報は、災害時の適切な対応・対策にとって重要となる。例えば、避難経路の確保や被災地の復旧・復興作業において、正確な土地情報は効率的な対応を可能にする。
○土地利用の最適化が図られる
土地の適正な利用と管理は、災害リスクを最小化するために重要。正確な地籍情報に基づいて、安全で持続可能な土地利用を実現できる。
地籍調査には最新の技術を活用し、効率的に実施することが必要。ドローンやGIS(地理情報システム)を使用して、正確な地籍情報の収集が可能。また、地方自治体、民間企業、研究機関などと連携し、地籍調査を迅速かつ正確に進めるための協力体制を構築しなければならない。
さらに、土地所有者や住民に対して、土地情報の重要性を啓発するキャンペーンを実施するなどの取組みにより、土地情報の明確化を進めることで、防災・減災の実現に寄与できると期待されている。
〈2024. 03. 19. by Bosai Plus〉