恵寿総合病院の地域・災害医療貢献を称賛、
「免震構造」の実効性も再認識
能登半島地震で震度6強の揺れを観測した石川県七尾市で「私たちは能登半島地震でも医療を止めない」と、地震の影響を感じさせずに地域医療をフル稼働させたのが、社会医療法人財団董仙会・恵寿(けいじゅ)総合病院(神野正博理事長)だ。本館は「免震構造」で、被害を免れたという。
去る2月26日の衆議院予算員会集中審議で、伊藤達也衆議院議員(自由民主党)が武見敬三厚生労働大臣に対する質問のなかで、民間の恵寿総合病院が「災害でも医療は絶対に止めない、能登の地域医療を絶対に守り切る」という不退転の覚悟で職員一丸となって臨んできた体制を「能登の奇跡」として紹介、NHKテレビの国会中継が放送した。
恵寿総合病院はJR七尾駅から北に約1kmの七尾湾臨海部に位置する。七尾市では、1万棟以上の住宅や134棟の非住宅建築物に被害が生じている。恵寿総合病院は主に「本館」「3病棟」「5病棟」の3つの建物から成り、本館と3病棟、3病棟と5病棟がそれぞれ上空連絡通路で行き来できるようになっているが、耐震構造だった3病棟と5病棟では天井が落下したりスプリンクラーが破損したりするなど内外装や設備などに被害を受けた。しかし、2013年10月に竣工した本館は「免震構造」で、被害を免れたという。
「医療機器の転倒どころか、棚にあった本1つ落ちなかった」と神野理事長は話す(2月8日付け日経BPより)。建物が無傷、停電もなかった。七尾市は断水長期化が深刻なエリアだが、本館ではろ過した井戸水を救急診療やトイレ、飲料水などとして利用できたという。
能登半島地震で能登中部の公立災害拠点病院は機能不全に陥ったが、民間の「恵寿総合病院」は医療活動をフル稼働している。同院の地域・災害医療貢献を称賛するとともに、「免震構造」の実効性も再認識されるのではないか。
〈2024. 03. 04. by Bosai Plus〉