P5 1 石川県の「女性消防団員募集動画」より - 地域防災を支える消防団<br>「消防団地域貢献表彰」創設へ

「能登半島地震における消防団の活動」を高く評価

松本総務大臣「消防団をより積極的に表彰」

 総務省消防庁によると、地域防災の中核を担う全国の消防団員の数は1954年のおよそ202万人から年々減少し、2023年4月時点で76万人余りとなっている。
 こうしたなか、令和6年能登半島地震で、石川県輪島市や珠洲市で消防団員の活動が重要な役割を果たしたことが各種報道で伝えられている。発災時は同地域の約600人の消防団員が、大津波警報を受けて避難誘導したり、倒壊した家屋での人命救助に努めた。またその後、救援車両を迎え入れるために道路応急復旧作業にあたったり、消防車両で防犯パトロールを行うなど、通常の消防団員が行わない活動にも力を発揮したという。

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石川県の「女性消防団員募集動画」より

 こうした能登半島地震被災地における消防団の活動について、松本剛明総務大臣は2月6日の記者会見でいくつかの重要な評価報告を行った。以下同記者会見要旨――
 「能登半島地震では、地元の消防団員が自ら被災されている方がたを支援しながら、発災直後から懸命に活動していた。消防団は地域防災力の中核として、法律に基づいて10年以上にわたり充実を図ってきた。消防団の更なる充実をめざし、都道府県知事や市町村長に対して書簡を発出した。この書簡では、消防団の日々の活動を称える初めての大臣表彰である『消防団地域貢献表彰』の創設や、地域住民との交流等の取組みをまとめた事例集の作成など、総務省消防庁の新たな対応を紹介するとともに、各地域において消防団員がやりがいが持てる環境づくりや、機能別団員制度の活用等による負担軽減など、消防団の更なる充実に向けた一層の取組みをお願いした」

 一定の訓練を受けた消防団員の確保は、地域の命と安全を守る共助の中核として欠かせないものであり、総務省消防庁として、全国の消防団員の貢献に報いるため、国と地方が連携して取り組んでいく意欲を示した。消防団地域貢献表彰の選定については、入団促進に加えて、地域住民との交流による理解促進や防災教育、地域への貢献など、消防団の日々の活動そのものに着目して“トップランナー”を選定したいとしている。

 ちなみに、石川県の消防団員数は、2021年調査で5328人となっている。日本全国の消防団員数ランキング(多い順)では、石川県は47都道府県のなかで45位(1位:兵庫県 4万553人……44位:福井県、46位:鳥取県、47位:沖縄県)と最下位グループだが、今回の震災で“底力”を発揮したと言える。

P5 2 石川県の消防団員数の1975~2021年までの推移(GraphToChartより) - 地域防災を支える消防団<br>「消防団地域貢献表彰」創設へ
石川県の消防団員数の1975〜2021年までの推移(GraphToChartより)
P5 3 地図で見る消防団員数の推移都道府県別の日本全国階級区分図/GraphToChartより - 地域防災を支える消防団<br>「消防団地域貢献表彰」創設へ
地図で見る消防団員数の推移(都道府県別の日本全国階級区分図/GraphToChartより)

 少子高齢化・人口減のわが国で、消防団員数が漸減することはやむを得ないかもしれないが、このたびの大震災での石川県消防団の活躍・高い志は、これからのわが国の地域防災力の“少数精鋭化”を象徴するのかもしれない。加えて、着実に増える防災士資格取得者との連携も期待されるところではある。

GraphToChart:石川県の消防団員数

〈2024. 02. 09. by Bosai Plus

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