気象災害の頻発で脆弱化する低地で
“反転攻勢”のまちづくり―なるか?
近年の地球温暖化の進行や異常気象の発生による自然災害の頻発やその影響を考慮し、国土交通省は、「高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループ(WG)」を設置している。このWGは、地域社会が安全かつ持続可能なまちづくりを進めるための方策を検討し、提案することが目的だ。
とくに、洪水や台風による災害が増加して低地に位置するまちづくりが脆弱化し、被害が拡大しているため、将来の災害に備え、地域社会の安全性を向上させるために、高台にまちを構築する方策を模索している。また、これは都市計画や防災対策の一環として位置づけられようとしている。
【 WGの設置趣旨 】
○ 安全性の向上
高台にまちを構築することで、洪水や地震などの災害からのリスクを低減
○ 持続可能なまちづくり
環境への負荷を低減し、自然エネルギーの活用などにより、持続可能性を追求
○ 地域コミュニティの活性化
地域コミュニティの結束を強化し、地域の魅力や賑わいを創出
【 検討方策の具体例 】
○ 高台利活用の促進
地域の高台有効活用のための構想や事業を推進、住宅や施設の高台移転を奨励
○ 防災施設の整備
高台に適切な防災施設を整備し、住民が災害に備えられる環境を整える
○ 地域住民の参画
まちづくりは、地域住民の意見や要望を取り入れ、参画型のまちづくりを進める
○ 環境配慮型まちづくり
緑化や再生可能エネルギーの活用など、環境に配慮したまちづくりを重視
WGはこれらの方策を検討し、まちづくりの実践に向けた提言をまとめる予定だ。また、これらの提言は国土交通省の方針や各自治体のまちづくり計画に反映され、地域社会の安全性と持続可能性を向上させる基盤となることが期待されている。安全性向上、持続可能なまちづくり、地域コミュニティの活性化がその基本理念であり、これを具現化するための具体的な方策が検討される。
高台まちづくりは、水害リスクの高い沿川地域において、広域避難や防災拠点の確保、景観や環境の向上などを図るまちづくりであり、水害に対する防御的な対策だけでなく、積極的なまちづくりの手法としても注目されている。
国土交通省:第3回高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループを開催
〈2023. 12. 01. by Bosai Plus〉