両者 “Win-Win”――
三井不動産:消防職員の技術指導で自衛消防隊訓練、
東京消防庁:リアル建物で実戦的訓練
三井不動産株式会社(東京都中央区)と東京消防庁は、2021年に「消防隊及び自衛消防隊等の実戦的訓練実施に関する協定」を締結している。このほど、協定に基づく各種訓練を初めて実施した。
同訓練は、10月2日~31日までの約1カ月間にわたり、三井不動産が日本橋にある解体予定建物3棟を提供し、同社および三井不動産ファシリティーズのビル管理スタッフ(自衛消防隊)、東京消防庁、地域の消防団・町会・事業所、中央警察署など約700名が参加、稼働中の建物では実施できない特別な訓練内容を組み込んで、官民連携の地域防災力向上に資する貴重な機会となった。
三井不動産は、これまでも解体予定建物を利用して、オフィスビルの自衛消防隊を対象に、消火器や消火栓、スプリンクラー設備等を実際に放出する消火訓練や、煙体験訓練等を行い、実戦力の向上に取り組んできた。東京消防庁との協定で、三井不動産は消防職員の技術指導を受けながら自助・共助訓練、自衛消防隊と消防隊の連携訓練、火災・事故の災害現場の消防隊への引き継ぎなど、より継続的に実戦的な訓練が行える。
今回の訓練は、「地震発生→火災発生(B1F)→ビルの「自衛消防隊」初期消火(消火成功)→公設消防隊到着、引継ぎ→救助活動実施(地域の消防団・自衛消防隊も協力)」の内容で実施された。東京消防庁の各消防署(千代田・中央・港・墨田・江東・江戸川・葛飾区)は、火災発生時の要救助者の救出訓練、エンジンカッターでの扉破壊訓練などを実施。救助訓練では、空気ボンベ・マスク着用および水が充填された消火ホースを持つなど重装備の消防隊員が、煙が充満し、区画もわからない室内に入り要救助者を救出する想定で行われた。
消防関係者から「火災現場では、初見の建物で活動を行うため、今回のような訓練は、リアルな体験として非常に有効だ」と好評だった。
また、中央警察署の警備係の訓練では、室内に要救助者が取り残されている想定で、エンジンカッターやハンマーによる扉破壊、什器に挟まれた人の救出、応急処置、担架での搬送など、一連の救出訓練を実施。普段、警備・警護活動にあたることが多い警備係だが、大規模地震等の災害時は、救出活動も行う。中央警察署からは、「今回は非常に有意義な訓練が実施できた。今後は、防犯訓練等解体予定建物をさらに活用した訓練を計画し、防犯・防災力向上に役立てたい」と好評を得た。
三井不動産ファシリティーズのビル管理スタッフによる訓練および演習の主な内容は、設備員による屋内消火栓放出訓練・非常放送操作・鳴動訓練などに加え、清掃員による汚損箇所の清掃などの技術演習となった。
三井不動産は、安心安全で災害に強い街づくりの取組みを広げていくことで、地域防災力向上へ一層の貢献をめざすとしている。
三井不動産:解体予定建物が訓練の場 東京消防庁と協定締結後初の連携訓練
〈2023. 11. 24. by Bosai Plus〉