3Dで確認・災害リスクを複合的に実感
避難所情報もワンアクセス
ハザードマップは国が自治体に作成と周知を義務づけていて、ほとんどの自治体が作成済みとなっているが、住民への周知には大きな課題がある。ハザードマップで実際に自宅周辺の災害リスクを確認している住民は各自治体で半数以下にとどまっているという調査結果もあり、多くの住民は自分が住む地域の災害リスクについて認識していないという現実がある。
また、紙のハザードマップについては「見方がわからない」「情報が多すぎる」という指摘もある。
そこで福岡工業大学社会環境学科の上杉研究室(上杉昌也准教授・地理学)では、福岡県古賀市と協力して水害や土砂災害、地震などの危険箇所や避難所などを提示したハザードマップについて、市内全域をデジタル化・3D化し、先ごろ公開した。
●データを選択可能に。避難所情報もワンアクセスで
上杉研究室のデジタルハザードマップはGISを用いて浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの情報のほか、避難所の場所などの必要情報をWeb上で表示。また、土地の標高や道路の幅、建物の高さを反映した3Dマップを見ることで、実際の災害リスクを複合的に見ることができる。
デジタル化したハザードマップは洪水・高潮等の浸水想定区域、土砂災害警戒区域等や地震による揺れやすさなど、それぞれの情報をレイヤーで選択しながら表示できるため、リスク情報が一目瞭然。また、避難所等を選択すると住所や標高、対応している災害の種類などの情報を参照することが可能。
●3Dで確認・災害リスクを複合的に実感
上杉研究室の3DマップはGISデータを基にして各地点の標高、道路の広さ、建物の敷地面積などのデータを反映して作られていて、紙の地図だけではわからない災害の全体像が見えてくる。なぜ浸水の恐れがあるのか? 安全な避難経路はどこか。考えるきっかけをつかむことで災害リスクを複合的に実感することができる。
福岡工業大学:福岡県古賀市と協力、ハザードマップをデジタル・3D化
〈2023. 11. 02. by Bosai Plus〉