「見て、触れて、体験して、商談する」リアル展示会
前評判どおりの内容の濃さで盛況のうちに閉幕
次回「危機管理産業展2024」は2024年10月9日(水)~11日(金)開催
本紙特約リポーター:関町佳寛(防災士 *写真撮影も/特記以外)
●「東京国際消防防災展」に続く大型イベント「危機管理産業展」
国内最大級の「危機管理」総合トレードショー「危機管理産業展2023」が去る10月11日〜13日の3日間、東京ビッグサイトで開催された(主催:株式会社東京ビッグサイト、特別協力:東京都、後援:内閣府政策統括官(防災担当)ほか関係公的機関)。
関東大震災から100年の年であり、また“コロナ明け”ともあって来場者数増への期待が高まったが、3日間来場者数は1万4771名(同事務局速報)で昨年とほぼ横ばいだった(2022年来場者数:1万4287名)。
来場者数が横ばいとなった背景としては、本年6月15日〜18日の4日間、「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト)が同会場と有明西ふ頭公園沖合で先行開催されたことがあるようだ。同展は5年ごとに開催される消防防災に関するビッグイベントで、4日間の総来場者は16万6831人(同事務局発表)に及んでいる。同展は「危機管理産業展」とは姉妹関係にあるイベントであり、消防防災関係者が多く来場していたことから、重複を避けた消防防災関係者も多かったとみられる。
●「特別テーマ~避難所・備蓄品」に目立つ”異業種参入”
今回の「危機管理産業展2023」(出展規模約300社・約450小間)は、防災・減災、BCP・事業リスク対策、セキュリティ、DX推進・サイバー対策、ドローン活用、テロ対策など危機管理分野の多様・多彩なリスクに対処するための製品・技術・サービスが一堂に集結、「見て、触れて、体験して、商談する」リアル展示会として、前評判どおりの内容の濃さをアピールするものだった。
「実演・体験企画」としては地震の揺れ、避難所のマット体験やダンボールトイレの組み立て実演などで来場者の参加を促したほか、「地産地防」で注目の最先端ドローン飛行実演も関心を集めていた。
そのなかで避難所の生活環境を少しでも改善しようと設定された「特別テーマ~避難所・備蓄品」から数例を紹介すると――「ほっと。松本」は”畳屋が考えた100年間未解決の避難所の盲点からの脱出”のテーマで、支援物資が届くまでの最低3日間(72時間)をしのぐための畳のような弾力性を持ち、寝袋機能を備えた敷物を出展。これを敷くだけで体育館などでの避難所ゾーニング(区分け)機能も備えるというもの。
また「KEiKAコーポレーション」は靴メーカーが考えた簡易段ボールベッドで女性でも子どもでも1分で組み立て完成する「ひらいてポン」。さらに、塗料メーカー関西ペイントが作った抗菌、抗ウィルス機能を有する組立式段ボール簡易トイレ、ベッドなど、”異業種参入”展示が目立っていた。
●最終日に「シェイクアウト訓練」 セミナー来場者は即応
数多くの多彩なテーマでの防災講演会、セミナーも企画され、それぞれの会場に熱心な聴講者がつめかけた。最終日・13日の11時58分に会場内に「シェイクアウト」訓練開始の館内放送が流された。シェイクアウトは米国発祥の地震防災訓練で、地震発生の合図を受けて、各自がその場で「安全確保行動1-2-3=まず体勢を低くし、頭を守り、動かない」ことで身を守ろうというもの。
シェイクアウト訓練は世界各地で実施されていて、2023年の訓練実績では登録参加者数は世界で5700万人、わが国で327万人にのぼる(各シェイクアウト事務局による)。
このとき記者はセミナーB会場で防災士研修センター・玉田太郎代表による「防災士が提唱するホームサバイバルトライアル」セミナーを取材中で、玉田講師は瞬時に反応してセミナー聴講者に「姿勢を低く、頭を守り、動かない」の3原則を促した。聴講者の多くは即座に身を守る行動をとり、さすがに防災意識が高いシェイクアウト理解者の集まりだと印象深かった。
いっぽう、場内の一般ブースや通路の来場者間では反応が少なかったようだった。本番で瞬時に冷静な判断・行動を起こすことはむずかしい。館内放送に気づかなかったのかもしれないが、瞬時の身を守る行動・反応は訓練を繰り返してこそ身につくと改めて感じた。
次回「危機管理産業展2024」は2024年10月9日(水)~11日(金)開催で、24年3月頃から出展募集開始予定となっている。
〈2023. 10. 26. by Bosai Plus〉