こども食堂が、災害時対応もでき、
防災拠点にもなり得ることで、
地域でのつながり・支援の輪が広がる
2023年フェーズフリーアワードに「子ども食堂を防災拠点に」が金賞を受けた。「フェーズフリーアワード」(主催:一般社団法人フェーズフリー協会)は、日常時と災害時などの非常時の両方で生活の質を向上させ、生活や命を守ることができるプロダクトやサービス、ファシリティなどを広く社会から募り、優れた対象を顕彰するイベント。
「フェーズフリー」(Phase Free)とは、ふだん身のまわりにあるモノやサービスを「日常時」と「非常時」というフェーズ(社会の状態)の境をなくし、“いつも”と“もしも”に関わらず生活の質を向上させ、私たちの生活や命を守ってくれるものにしようという考え方だ。
2023年フェーズフリーアワードは、事業部門とアイデア部門で応募を受け付け、99件の応募があった。そのうちの事業部門で、全国に7000以上ある「子ども食堂」を「いつもの場所」から「もしもの場所」にもなれるよう、食事を提供するだけでなく、災害時には配給や炊き出しなども行う「防災の拠点」にしようとする取組みが金賞を受賞した。
「子ども食堂を防災拠点に」とは、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが主導するプロジェクト。子ども食堂は、地域住民や民間団体が主体となって、子どもたちに食事を提供する取組みで、無料または低額で栄養のある食事や温かな団らんを提供することで、子どもの健康や食育、地域のつながりなどを支援する。子ども食堂は、日本全国に約7000カ所以上あり、さまざまな名称や運営形態がある。
子ども食堂は、SDGsの目標1である「貧困をなくそう」や目標2「飢餓をゼロに」、目標3「すべての人に健康と福祉を」と連する取組みでもある。「子ども食堂を防災拠点に」プロジェクトでは、こども食堂の運営者に向けて「こども食堂防災マニュアル」を発行し、各地で防災研修やオンライン座談会などを実施、また、LINEオープンチャットを利用して防災に関する情報交換や支援相談なども行っている。
日頃から地域に根ざし、地域の人びとのつながりをつくるこども食堂が、災害時にも対応できること、防災拠点にもなり得る可能性を地域に知ってもらうことで、こども食堂への支援の輪をさらに広げることができるだろう。
〈2023. 09. 19. by Bosai Plus〉
/