「こんなときに撮影か!」――
罵倒にひるまずキャメラを回した
あふれかえる避難民と無残な遺体を前にして、
撮影者はなにを思い、なにをフィルムに収めたのか
●関東大震災を撮ったキャメラマンとそのフィルムの物語
以下、記録映画保存センターHPの「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」のイントロダクションからの引用である――
1923年9月1日午前11時58分。マグニチュード7.9の巨大地震が東京、神奈川を中心とする関東地方を襲った。激震は建物を倒壊させ、木造家屋が密集する地域は火災により焦土と化した。10万人を超える死者を出した関東大震災である。
当時、記録映画は〈出来ごと写真〉〈実況〉と呼ばれ速報性・真実性が追求される新しいメディアだった。キャメラマンたちはその担い手として被災地に向かった。
現在、手記や回顧録、遺族たちの証言などによって震災直後を撮影したキャメラマンは3人判明している。岩岡商會の岩岡巽。日活向島撮影所撮影技師の高坂利光。東京シネマ商會の白井茂だ。
3人は誰に命令されたわけでもなく、夢中で手回しキャメラをまわした。逃げさまよう避難者からは「こんな時に撮影してんのかよ!」という罵倒や暴力にもあった。
映像からは惨状とともに、この災害を残さねばという彼らの強い使命感が伝わってくる。3人が撮影したフィルムは複製され、バラバラに構成されて全国の映画館や集会場で公開された。そのフィルムのいくつかは世紀を越えて現代に残り、デジタルアーカイブ化が行われている。アーカイブは、自然災害が多発する日本で生活する私たちに、被害のすさまじさを伝える記録として、今も生き続けているのだ。
重いキャメラと三脚を持って、キャメラマンは被災地をさまよいながらなにをみたのか。撮ったものはどのような映像だったのか。そして残されたフィルムからなにを知ることができるのか。
関東大震災を撮ったキャメラマンとそのフィルムが今、私たちに語りかけてくる――
●上映情報:現在公開が決定している劇場
(下記以外の地域での公開予定はないが、決まり次第、順次掲載予定)
・東京 ポレポレ東中野 2023年8月26日〜 03-3371-0088
・神奈川 横浜シネマリン 2023年8月26日〜 045-341-3180
・大阪 第七藝術劇場 2023年8月26日〜 06-6302-2073
・兵庫 元町映画館 2023年9月2日〜9月8日
記録映画保存センター:「キャメラを持った男たち」ー関東大震災を撮るー
〈2023. 08. 21. by Bosai Plus〉