感震ブレーカー設置率25%、
旧耐震基準解消率100%などの施策を進める

『東京とどまるマンション』(旧東京都LCP住宅)で”在宅避難”対策拡充へ

●東京都、首都直下地震に備え 地域防災計画を策定

 東京都は、首都直下地震が発生した場合に被害を最小限に抑えるための対策をまとめた「東京都地域防災計画(震災編)」を本(2023)年3月に策定した。同計画は、災害対策基本法に基づき、都、区市町村、自衛隊、公共機関などの防災機関が連携して地震災害の予防、応急対策、復旧・復興対策を実施することを目的としている。

 都は昨年、首都直下地震被害想定を10年ぶりに見直し、想定震源域として東京湾北部・南部・西部の3つのゾーンを設定、それぞれにおける地震の規模や発生確率、揺れの強さなどを評価した結果、いずれも最大(最悪)で死者およそ6150人、建物被害およそ19万4000棟に及ぶとした(都心南部直下地震)。
 このような大規模な被害に対応するために、地域防災計画(震災編)では以下のような対策を講じる。

・ 防災意識の向上、自助・共助の促進
・ 建物やインフラの耐震化・不燃化
・ 火災や津波などの危険度に応じた避難情報の発信
・ 避難所や避難経路の確保・整備
・ 救急医療や物資供給などのライフラインの確保
・ 復旧・復興に向けた事前準備や協力体制の構築

 具体的には、死者数を約3000人以下、全壊住宅数を約10万棟以下にすることをめざし、感震ブレーカー設置率を25%に、旧耐震基準住宅解消率を100%などの施策を進める。また、南海トラフ地震や風水害、火山噴火など他の災害についても別途地域防災計画を策定している。

P3 1 東京都「3つの視点と分野横断的視点に基づく減災目標の設定」 - 東京都「地域防災計画(震災編)」<br>30年度に想定被害をおおむね半減
東京都「3つの視点と分野横断的視点に基づく減災目標の設定」より
P3 2 「災害関連死の抑制にも資する避難生活の環境改善」より「トイレの確保」(東京都資料より) - 東京都「地域防災計画(震災編)」<br>30年度に想定被害をおおむね半減
「災害関連死の抑制にも資する避難生活の環境改善」より「トイレの確保」(東京都資料より)

 関東大震災から100年――首都直下地震はいつ起きてもおかしくない。東京都は、計画は必要に応じて修正することとし、「TOKYO強靭化プロジェクト」で示した「2040年代の目指すべき東京の姿」を実現するため、中間地点である2030年度までに首都直下地震等による人的・物的被害をおおむね半減させるとしている。

 住民一人ひとりが日頃から防災に関心を持ち、自分や家族、近隣の人々を守るためにできることを行うことが重要である。

東京都:地域防災計画 震災編

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●「東京都LCP住宅」が『東京とどまるマンション』に名称変更
 マンション住民の在宅避難を支援
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 東京都は、共同住宅で、停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源を確保し、防災マニュアルを策定して運用することなどで、災害時でも都民が自宅での生活継続(在宅避難)をしやすくする共同住宅について、その名称を「東京都LCP(Life Continuity Performance:居住継続性能)住宅」として、情報を登録・公開する制度を設け運用してきた。

 本年1月、東京都はこの「東京都LCP住宅」の名称を、より都民に伝わりやすいものとなるよう『東京とどまるマンション』に変更しているので、改めてこの制度を紹介する。

●『東京とどまるマンション』

 災害に備え、あらかじめエレベーターや給水ポンプの非常用電源の確保、防災マニュアルに基づく防災訓練・備蓄などに取り組むことにより、災害による停電時にも住み慣れた自宅に「とどまる」ことができ、生活が継続しやすいマンションとなることを、都民にわかりやすく伝えるために、親しみやすい名称とした。

P3 3 「東京都LCP住宅」が「東京とどまるマンション」に名称を変更 - 東京都「地域防災計画(震災編)」<br>30年度に想定被害をおおむね半減
『東京とどまるマンション』の詳細について説明したPRチラシより

 都は『東京とどまるマンション』のさらなる普及を図ろうと、この6月には備蓄品や資機材の購入を補助する事業を開始すると発表している。

東京とどまるマンション(旧 東京都LCP住宅)情報登録・閲覧制度

〈2023. 07. 15. by Bosai Plus

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