「国民目線」と「連携」をキーワードに――
PDCAサイクルを回しながら
プロジェクトは着実に推進中だという……
わが国で近年、大規模な災害や身近な地域での“通常災害”が相次ぐ。こうした状況に対応するため国土交通省では、“その総力を挙げて”、抜本的かつ総合的な防災・減災対策の確立をめざしている。その取組みが「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」だ――
■プロジェクトの概要
「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」は、2020年1月に立ち上げられ、国土交通省が所管する水管理・国土保全、運輸安全防災、総合政策などの各分野の防災・減災施策を一体的に推進することを象徴的に表したものだ。「国民目線」と「連携」をキーワードに、「住民避難」「輸送確保」「再度災害の防止」「初動対応の迅速化・適正化」「首都直下地震等の大規模地震対策の強化」「デジタル等の新技術を活用した防災施策の推進」などのテーマに沿って主要な施策をとりまとめている。
プロジェクトはPDCAサイクル(Plan→ Do→ Check→ Actの4段階を繰り返して業務を改善する手法)を回しながら、施策の実行に必要な予算要求や制度改正を行い、プロジェクトの充実・強化を図っている。
■プロジェクトの進捗状況
プロジェクトは2020年7月に第1弾として主要10施策を公表。その後、「住民避難」「輸送確保」のテーマに沿った施策を追加、さらに「再度災害の防止」「初動対応の迅速化・適正化」を追加し、直近の本年6月には第4弾として「首都直下地震等の大規模地震対策の強化」「デジタル等の新技術を活用した防災施策の推進」を追加。これらの施策は国土交通省防災・減災対策本部(本部長:国土交通大臣)を中心に推進している。
■プロジェクトの今後の課題
プロジェクトは、これまでに多くの施策を打ち出してきたが、その成果が国民に伝わっているだろうか。国土交通省が「国民目線」と「連携」をキーワードに“総力戦で挑む”プロジェクトにしては、その内容や進捗状況、成果について情報発信がわかりにくい。国をあげてのDX化が喧伝されているが、例えば、ホームページや解説資料PDFの見せ方は旧態依然の観は否めない。洗練されたインフォグラフィックスや動画、アニメーションを活用した情報発信はできないものだろうか。「デジタル等の新技術を活用した防災施策の推進」はよしとして、情報発信というDXソフトの立ち遅れが課題のようにも見える……
〈2023. 07. 15. by Bosai Plus〉