少子高齢化時代の“まち再生”
旭化成不動産レジデンスが
東京都足立区千住3丁目エリアで進める分譲マンション
旭化成不動産レジデンス株式会社(東京都千代田区)が、東京都足立区千住3丁目エリアで権利者(底地権者・借地権者・所有権者)22名と共同で行う等価交換事業として進める分譲マンション「アトラス北千住」に着手したという広報を入手した。
同建設地は、旧日光街道サンロード宿場町通り商店街に面していて、江戸への入口の宿場町として発展してきた歴史あるまちの中心であるとともに、昔ながらの家屋や裏路地の小道など下町風情の面影が残る趣ある場所であるいっぽうで、老朽家屋も多く、災害時の倒壊や延焼火災の恐れがあった。また、道路が細く工事車両の進入がむずかしいことや、土地(底地)の所有者と建物(借地)の所有者が違うことなどから、建替えが進まないなど、防災の観点からのまちの再生は長年困難な状況が続いていた。
そこで、共同化=等価交換という手法が有効な選択肢として浮上、地主9名共有、借地人10名、隣地所有者3名の合計22名の協力のもとで具体化される。権利関係者の多くが高齢であることに加え、家屋の老朽化により、災害時の危険性が危惧されることなどが事業のきっかけで、話合いの開始から着工まで延べ7年の事業となった。
「等価交換事業」とは、敷地を所有者が提供し、デベロッパーが事業費を出資してマンションに建て替え、その所有権を住戸に置き換える(等価交換)事業を言う。「居住を続けたい、店舗/賃貸を同じ土地で経営し続けたい」、「土地の権利関係を整理したい」、「資金が欲しい」など権利者ごとに異なる困りごとに対し、旭化成不動産レジデンスは130件を超える実績で培った知見でそれぞれの権利者にとっての最適解を導き出してきたという。
これによって将来の相続に備えることができるうえ、次世代にも長く愛着を持って住み続けてもらうことが可能となり、 レジリエンス(防災)性が高く、住宅の資産価値を高め、災害に強いまちづくりへの貢献も実現できるというものだ。
旭化成ホームズ:密集市街地を都市共同化(等価交換)事業で防災強化
等価交換事業は、国土交通省が定める「住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)」や「密集市街地総合防災事業」、「防災街区整備事業」などの制度に基づいて行われる。等価交換事業の最近の事例としては、東京都中央区日本橋小伝馬町の「日本橋小伝馬町プロジェクト」や、大阪府大阪市北区中崎町の「中崎町防災街区整備事業」などがある。
少子高齢化の時代に等価交換事業は注目されるところだが、そのデメリットにも触れておこう。等価交換で建て替えられるマンションや大型施設などは、需要のある建物である必要があるし、規模(広さ)の問題、容積率の問題もある。当然のことながら、ディベロッパーが投資するにあたって立地・採算性は厳密に計算されることも確かだ。
〈2023. 06. 15. by Bosai Plus〉