事件・事故等の現場の状況を 動画や静止画像で伝える
「119番」で救急車の呼び方/「Net119緊急通報」とは?
警察庁は、2022年10月1日から試行運用をしていた「110番映像通報システム」について、4月1日から本実施に移行する。「110番映像通報システム」は、110番通報者が音声だけでは把握・伝達がむずかしい事件・事故などの現場の状況を、スマートフォンまたはタブレット端末で撮影、その映像(動画または静止画)を警察通信指令室に送信・通報できるシステム。
具体的には、通報者からの110番通報に対して、通信指令室担当者が映像通報の必要性を判断する際に、通報者の同意を得て、通報者のスマートフォンにSMS(ショートメッセージサービス=携帯電話の電話番号を用いてメッセージのやり取りが可能な機能)で専用URLを送信、通報者は留意事項等に同意して、撮影した映像を送信する。通報者はその専用URLにアクセスし、警察職員が教示するアクセスコードを入力することで、同システムを利用することができる。通報者は、スマートフォンなどのカメラ機能を用いて撮影した映像に加えて、あらかじめ撮影した映像などを送信することができる。
なお、同システム利用の際は、スマートフォンなどのGPS機能を利用して通報場所の位置情報が取得される。また、送信された映像は、受理端末でリアルタイムで受信・自動保存され、原則、取得した日の翌日から起算して7日間経過後に自動消去される。撮影した映像等の著作権は放棄となり、同システムを用いて撮影した映像、画像は通報者のスマートフォン等には保存されない。
ちなみに試行運用の22年10月1日から23年2月28日までの期間で、映像(動画)が262件、画像(静止画)が383件、保存ファイル(映像)が139件、保存ファイル(画像)が1509件、通報された。通報事案は、保護・救護関係1107件(約48%)、各種情報414件(約18%)、交通関係374件(約16%)で8割を超える。実施件数が上位の県は、神奈川県警察412件、愛知県警察262件、兵庫県警察242件。
効果的活用事例として、「駐車場内において当て逃げされた被害者が撮影していた被疑車両の画像から、被疑者を割り出し検挙」、「行方不明となった児童の画像を母親から受理し、検索中に発見し保護」などがあった。
なお、試行運用では通報者が同システムを利用するには、専用URLにアクセスした後、警察職員が教示するアクセスコードを入力する必要があったが、利便性向上の観点から本実施では原則入力不要となる。
●「119番」で救急車の呼び方/「Net119緊急通報」とは?
「110番」するとまず「事件ですか、事故ですか」と担当者から聞かれるが、「119番」(正式には「119番緊急通報」)では「火事ですか、救急ですか」となる。左図は総務省消防庁が指導する「救急車の呼び方」、改めて確認しておこう。
このミニ・コーナーは「Net119緊急通報システム」を紹介。同システムは、音声による「119番通報」が困難な聴覚・言語機能障害者が円滑に消防への通報を行えるようにするもので、スマートフォンなどから通報用Webサイトにアクセスして、「救急」「火事」の別と、通報者の位置情報を入力すれば、即座に消防本部に通報がつながり、その後にテキストチャットで詳細を確認する仕組みになっている。
〈2023. 04. 10. by Bosai Plus〉